ホームテキスタイルBtoBプラットフォームの「易家紡」、貿易取引に特化

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

ビジネス注目記事

ホームテキスタイルBtoBプラットフォームの「易家紡」、貿易取引に特化

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

紡績は中国の重要な輸出産業だ。中国のホームテキスタイル業界に関するデータによると、2018年の生産額は1兆8500億元(約29兆6000億円)だった。また、中国の紡績品は中国の輸出額の過半数、世界の輸出額の25%を占めている。

ホームテキスタイル貿易向けBtoBプラットフォームを手がける「易家紡(Easysofthome)」創業者兼CEOの馬天亮氏は、ホームテキスタイル業界で25年以上の経験を持つ。馬氏によると、2018年の中国のホームテキスタイル輸出額は2615億元(約4兆1840億円)だった。だが、ホームテキスタイル業界のサプライチェーンはIT化が進んでおらず、生産コストの上昇、人口ボーナスの消失、貿易規制の強化がみられる状況でも、依然としてアナログな手法で輸出が行われており、越境マーケティングの効率は低下の一途をたどっているという。

弱点は越境マーケティング

馬氏はホームテキスタイルの輸出において、越境マーケティングがメーカーの最大の弱点だとみている。中国のホームテキスタイル産業の強みは生産面にあり、メーカーは海外の顧客から注文を得ることを最も重視している。これまで、メーカーは国内外の展示会への参加、商品案内の発送、企業のウェブサイト作成などの方法でマーケティングを行ってきた。だが、こうしたやり方で注文につなげることが次第に難しくなってきている。

現状を打開するため、易家紡はホームテキスタイル製品の貿易に特化したSaaS型サービスを提供し、ビッグデータや自動デザインシステム、サプライチェーン向け値決め支援システムを通じて、輸出マーケティングの完結した仕組みを構築したいと考えている。同社が運営するプラットフォームは次の3つの部分で構成されている。

1.「易数据(E-data)」
易数据には業界経験、テキスタイルのデザイン、在庫状況、製品の型番、仕様書、テキスタイルの素材など6つのデータベースが設けられている。同社は5年にわたり、ホームテキスタイル業界に関する国内外の取引実績データを収集しており、売る側と買う側の双方にマッチングさせることで、正確なマーケティングを実現している。

テキスタイルの情報

2.「易設計(E-Design)」
オンラインでのデザインプラットフォーム。テキスタイルデザインソフト市場は海外大手がほぼ独占しているものの、それらを利用するのは使い勝手や費用の面でハードルが高い。一方、易設計はテキスタイルの基本的概念さえ理解していれば、数十分もかからずにデザイン画を作成することができる。費用もSaaS利用料しかかからない。

易設計で作成したホームテキスタイルの完成予想図

3.「易核価(E-Price)」
メーカーが価格を設定するためのツール。易核価はサプライヤーが提示する価格、納期などホームテキスタイル業界のサプライチェーンのデータをプラットフォーム上に統合している。メーカーはサプライヤーを自由に選択することで、生産コストを抑制することが可能だ。

研究開発に5年、ベンチャーとしては異例

易家紡は2014年設立。研究開発に5年を費やしており、プラットフォームは今年10月にリリースされる予定だ。このような過程はベンチャー企業としては異例と言える。

馬氏によると、ホームテキスタイル業界に狙いを定めた以上、避けられない道のりだったという。業界ではIT化が進んでおらず、非常に多くの問題を技術的に解決していく必要があった。このため、同社はまず中核技術の発展とソリューションの確立に注力し、それから収益化の問題に取り組むことにしたのだ。

同社は現在、画像の色彩処理、2D/3Dバーチャルリアリティ(VR)などの分野で専門家チームを抱え、中国の発明特許4件とソフトウェアの著作権26件を取得しており、デザインや値決めに関する主要技術はいずれも自社で開発している。データによると、同社はすでに国内外の通関データサービス企業3社、ホームテキスタイル業者30数社、展示会主催会社4社と長期協力関係を結んでいる。

収益化の面では、同社は将来的に年会費を主な収益源とする計画で、年会費は1万元(約16万円)前後を見込んでいる。また、広告収入、サプライチェーンサービス、資金調達支援などの手段も検討しているという。

同社の従業員は20人弱。研究開発費用は主に創業メンバーの自己資金でまかなわれている。すでに最初の資金調達に乗り出しており、規模は2000万元(約3億2000万円)になる見通し。
(翻訳・池田晃子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録