世界TOP5のユニコーン企業、22年は苦戦。バイトダンスやSHEIN、評価額は大きく減少

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世界TOP5のユニコーン企業、22年は苦戦。バイトダンスやSHEIN、評価額は大きく減少

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ユニコーンとは企業評価額が10億ドル(約1300億円)を超えるスタートアップ企業を指す。2023年1月時点で世界には1200社以上のユニコーンが存在する。米調査会社CBインサイツが公表した最新のランキングによると、現在世界の評価額トップ5は、TikTokを運営する中国の「バイトダンス(字節跳動)」、米EV大手テスラCEOのイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発の「スペースX(Space X)」、中国発のファストファッションECサイト「SHEIN」、米オンライン決済企業「Stripe」、オンラインデザインツールを提供するオーストラリアの「Canva」となっている。しかし、このほとんどは昨年評価額が大きく下がった。上場を計画していたものの、評価額が下がり続けたことから一時的に上場申請を撤回した企業もある。

CBインサイツより

1)バイトダンス

バイトダンスは世界最高の評価額を誇るテック企業だが、昨年大幅に評価額が減少した。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によると、1000億ドル(約13兆5000億円)減少し、3000億ドル(約40兆円)になったという。21年に同社のプライベート・マーケットにおける評価額が約4000億ドル(約54兆円)だったので、25%減ったことになる。

これは昨年の世界および中国のテック企業の時価総額の動きと同じ状況だ。アップル、マイクロソフト、グーグルの時価総額の下落幅はいずれも20%を上回った。中国のテンセント、アリババ、美団(Meituan)といった大手企業でも時価総額は10%以上減少した。

バイトダンスは昨年EC事業に力を入れた。米テック系メディア「The Information」によると、バイトダンスが運営する動画アプリ「抖音(中国版TikTok)」ではEC取引額が2080億ドル(約28兆円)に達し、前年比76%の伸びとなった。抖音の海外版アプリTikTokのユーザー数は10億人を超えており、昨年の東南アジアにおけるEC取引額は44億ドル(約6000億円)と、前年の2倍以上となった。同社のEC事業はベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、米国などにも拡大している。

広告事業については、英経済紙フィナンシャル・タイムズの報道では、TikTok広告収入の予想はそれまでの120億ドル(約1兆6000億円)より20%少なく、100億ドル(約1兆3000億円)に修正された。これに基づくと、21年の広告収入約40億ドル(約5000億円)からは150%の増加ということになる。

2)スペース X

スペースXは昨年評価額ランキングで世界2位になった。昨年上半期(1~6月)に16億8000万ドル(約2000億円)の資金を調達し、評価額が1250億ドル(約16兆8000億円)を超えている。7月にはさらに2億5000万ドル(約300億円)を調達した。昨年12月から今年初めにかけての海外メディアの最新情報では、評価額1370億ドル(約18兆4000億円)として米有名VCアンドリーセン・ホロウィッツなどから7億5000万ドル(約1000億円)を調達する計画だという。

同社は昨年、「ファルコン9」ロケットをこれまでで最多となる61回打ち上げた。10年の初打ち上げ以降、ファルコン9は通算194回打ち上げられている。

傘下の衛星インターネットサービス「Starlink(スターリンク)」については、100万ユーザーを獲得したことを昨年12月に公表している。Starlinkは高速・低遅延のブロードバンドインターネットサービスを提供しており、利用料金は月額110ドル(約1万5000円)、ハードウェアの初期費用は599ドル(約8万円)だ。

また大型宇宙船「Starship(スターシップ)」事業では、21年から「Starship SN15」の打ち上げを開始、宇宙空間に滞在する90分間の飛行計画を公表している。ロケットを打ち上げて地球周回軌道を飛行し、最終的に海上に着水する計画だが、昨年打ち上げは実施されなかった。海外メディアの最新の情報によると、今後28カ月のあいだにいずれかのタイミングでテスト打ち上げ再開を予定しているという。

3)SHEIN

中国発のSHEINは世の中のトレンドを敏感に察知して、流行と価格を重視したファッションアイテムを多品種少量生産し、世界のオンラインファストファッションシーンで有名になった小売企業だ。ユーザーは150以上の国と地域に広がる。

同社の評価額は昨年4月に1000億ドル(約13兆4200億円)に達し、新たに約10億ドル(約1340億円)を調達する計画だと米ブルームバーグが伝えた。しかし最近になってフィナンシャル・タイムズは、同社が評価額640億ドル(約8兆6000億円)で30億ドル(約4000億円)調達を計画中と報じており、評価額は30%以上減少した模様だ。

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昨年の業績は非公表だが、モルガン・スタンレーによると、売上高は推計で200億ドル(約2兆7000億円)に達し、ユニクロを展開するファーストリテイリングを抑えて世界第4位のアパレル小売企業になったとみられる。

また、最大の市場である米国と欧州での立場を揺るぎないものとするため、欧州の主要都市でポップアップ・ストアを開設してブランドの知名度を上げ、4月には米インディアナ州に同国では初となる配送センターを開設して配送時間を短縮した。2カ所目の配送センターを今年初めにカリフォルニアに開設する計画で、北東エリアで3カ所目の建設も検討している。

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4)Stripe

Stripeは昨年評価額が630億ドル(約8兆5000億円)にまで減少し、21年の3分の2程度となった。The Informationのレポートによると、自社株式の内部評価を見直して約11%引き下げ、評価額を半年前の740億ドル(約10兆円)から630億ドルに下げたという。21年3月に実施した直近の資金調達でセコイアキャピタルやフィデリティなど有名投資機関から資金を調達し、評価額は950億ドル(約12兆8000億円)になっていた。当時はコロナ禍の真っただ中にあり、多くのフィンテック企業がこの時期はマーケットの変化から恩恵を受けていた。

昨年はマクロ経済や、例えばライバル関係にある上場企業の業績など外部要因に影響を受け評価額が減少した。決済市場におけるStripeの主なライバルは米「PayPal」と「Block(ブロック、旧Square)」だが、両社とも昨年は時価総額が30%を超える大幅減となった。

評価額が下がり続けるなか、経済が衰退する前にコストを圧縮するとして1000人規模のリストラを実施した。昨年11月に従業員に宛てたメールの中で、1週間以内に14%の人員を削減し、23年2月から再び増員して7000人程度にすると伝えている。

5)Canva

Canvaも同様に、昨年評価額が大幅に下落した。豪紙オーストラリアンによると、7月の同社の評価額は21年の400億ドル(約5兆4000億円)から36%減少し、260億ドル(約3兆5000億円)となった。

評価額の減少に反し、運営状況は好調を維持している。公式発表によると、ユーザー数は21年の6000万から昨年3月に約7500万に増加、10月には1億の大台に達した。

21年の売上高は前年の2倍に当たる10億ドル(約1340億円)となった。昨年の数字はまだ公表されていないが、ユーザーの増加に応じて売り上げが増えているとすれば、優れた結果に違いないだろう。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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