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コーヒーショップチェーンの「咖啡之翼(WING CAFE)」が、コーヒー自動販売機を管理運営する「莱杯咖啡(Label coffee)」を買収することで合意したことが分かった。今回の買収は、事業や経営、チーム、設備など多方面にわたる。
これまでも両社は技術や人員、運営の面で提携してきたが、買収後、莱杯咖啡のコーヒー自動販売機は既存設備のみを残して、咖啡之翼のスマート自動販売機「自由翼」に統合される。
これまでに莱杯咖啡が全国に設置した設備は800台以上あり、買収後には咖啡之翼が抱える自動販売機は4000台近くにまで増加する見通し。咖啡之翼創業者の尹峰氏いわく、業界の概算統計によると、同分野の中で、同社の設置数が最多になるという。
咖啡之翼は2000年に創業、コーヒーショップのチェーン展開から初めて、130都市以上に300店以上を出店している。2017年末にはスマートコーヒー自動販売機「自由翼」の事業を開始した。
莱杯咖啡は2015年にコーヒー自動販売機を足がかりにしてコーヒー市場に参入、9カ月のうちに3つのシリーズで資金調達に成功している。
買収の背景について、尹峰氏は以下の3つを挙げた。まず、大規模展開を図る上で時間の節約になること。次に、ユーザー体験とクオリティーを重視する両社の理念が一致したこと。そして、運営やマーケティングに関するそれぞれの強みを活かして補完できることだ。
咖啡之翼の強み
咖啡之翼の最大の強みは、中国のコーヒー市場とユーザーへの深い理解だと、尹峰氏は考える。
実店舗で130都市をカバーする咖啡之翼は、出店先の立地選定において多くの経験を積んできた。また2006年にはERP(基幹業務システム)を導入し、各シーンや販路、ユーザーごとにどのような商品ニーズがあるのかを内部テータベースに蓄積している。
咖啡之翼の店舗は直営店をベースに、フランチャイズ経営で全国展開しており、システムや運営管理、サプライチェーンなどのノウハウを蓄えてきた。コーヒー自動販売機は実店舗に比べてシンプルで、柔軟な経営が可能なため、より大規模展開に向いているといえる。
さらに同社は、加盟店の残存率87%を達成する店舗黒字化モデルを活用して、自動販売機が単独で採算を取れるようにしている。この点で大きなウエートを占めるのが立地だ。同業者ベンチャーの多くはチェーン店経営のノウハウを持たないため、設備を大量に設置して数で勝負しようとする。しかしこのような資金頼みの展開では、いったん資金の流れが滞るとすぐに窮状に陥ってしまう。
「鯨准(JingData)」によると、コーヒー自動販売機を手がける創生期の企業23社のうち、57%の13社が資金の調達に成功したという。2015~2017年には、コーヒー自動販売機というニューリテールビジネスに多くの資金が流れたが、直近1年に限っては資金を調達できた企業はごくわずかだ。
巨大なコーヒー市場、競争の行方は
コーヒー市場は急成長を続けている。中国メディア「前瞻網(qianzhan.com)」は、2020年に中国コーヒー市場の売上高は3000億元(約4兆7000億円)に達し、2025年には1兆元(約16兆円)を突破するとも予測する。食文化が似ている日本と比べても、1人当たりのコーヒー年間消費量には約40倍の開きがあり、市場のポテンシャルの大きさをうかがい知ることができる。
今後、咖啡之翼は実店舗の展開と自動販売機の設置を同時進行させ、高密度で全国展開していくといい、2019年の売上高は50%を超える成長が期待できるとのことだ。
(翻訳・畠中裕子)
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