バーチャル物体の感触までも再現するグローブ型VRデバイス「Dexmo」、企業向けに量産化

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バーチャル物体の感触までも再現するグローブ型VRデバイス「Dexmo」、企業向けに量産化

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中国に拠点を置く米VRデバイス開発企業「Dexta Robotics」が、外骨格グローブ型デバイス「Dexmo」を企業向けに正式に発売した。すでに安定した量産体制を確立しており、公式サイトから直接購入できる。

Dexmoは両手に装着し、手のあらゆる動きを認識・伝達するVRデバイスだ。デジタルワールド内の仮想物体を掴む、押す、回すなど多様な動作が可能なうえ、力覚フィードバック(FFB)技術によって、触れた仮想物体の大きさや形状、硬さなどを手に伝達できる。

同製品は2014年に初の原型が発表され、2017年に少量生産を開始している。実際に試用したモニターの意見を反映させながら、生産能力やハードウェアの安定性、中核機能、人体工学など多方面で改善を図ってきた。

同社の谷逍馳(アラー・グー)CEOは、「多くの人は知らないが、製品の原型を制作すること、少量生産に移行すること、量産化すること、これらの間には大きな隔たりがある。原型作りは比較的簡単だが、安定した出荷ができるようになるまでには、設計から生産までの一連のフローにおいて、標準化が行き届いた生産体制を築かなければならない」と述べる。

例えば、FFBモジュール一つをとっても、大小含めた数十社ものサプライヤーと連携していくことが必要だ。また、システムをコンパクト化するためには、多くの部品をオーダーメイドで調達しなければならない。各方面との意思疎通、品質管理、マネジメントは非常に複雑で、これらの調整に多大な時間を要したという。

VR(仮想現実)・MR(複合現実)関連のインタラクティブツールを量産へ持っていくには、簡便な開発環境を提供する必要もある。企業向けDexmoは、経験や知識の少ない開発者でも容易に開発に参加できるソフトウェア開発キットを整えた。

同製品の顧客は多くが企業や研究機関だ。海外の法人顧客は、米ジェット推進研究所(JPL)、米ヒューストン宇宙センター、トヨタ自動車、ソフトバンク傘下のロボット開発企業「ボストン・ダイナミクス」などだ。中国国内の法人顧客には、中国宇宙飛行士科学研究訓練センター、電力配送企業の国家電網(STATE GRID)、原子力発電企業の中国核工業集団(CNNC)、石油エネルギー企業の中国石油天然気(ペトロチャイナ)などが並ぶ。学術機関の顧客は、米マサチューセッツ工科大のMITメディアラボや、英ケンブリッジ大工学部などだ。

谷CEOによると、Dexmoの主な活用領域は、自動車メーカーやOEMメーカーなどでの人材研修だ。組み立て、品質検査、メンテナンスなどの工程で仮想の状況を設定し、それらに取り組む過程でフィードバックの得られる研修により、コストや効率を改善できる。中国の生産現場では人材の定着率が低く、熟練した従業員が常に新人従業員の育成に追われる状況だ。冊子や動画では効率も悪く、研修の成果も目に見えにくい。

Dexta Roboticsによると、一方通行の従来式研修と異なり、受講者の動きを正確に反映しながら進行する仮想研修は、実践的に作業工程を学べるほか、その習熟度についても適時評価が得られる。従業員は本格的に生産ラインに入る前に、必要な条件をクリアできる。現場を模した研修方式は時間もコストも削減できるほか、安全面でのリスクも根絶できるという。

今後は航空・宇宙、研修、教育、ゲーム、医療、遠隔操作など多様な領域での導入を目指す。
(翻訳・愛玉)

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