「空飛ぶクルマ」業界、投資家が熱視線。中国エアモビリティ開発企業、有人eVTOL完成へ前進

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エアモビリティの開発を手掛けている中国スタートアップ企業「御風未来(Vertaxi)」が、昨年12月にシリーズA+で天善資本(Skyview Fund)から資金を調達した。昨年5月の数千万元(数億~十数億円)に続き7カ月間で2度の資金調達を実施し、調達額は累計1億5000万元(約30億円)となった。今回の調達資金は2トン級有人・電動垂直離着陸機(eVTOL)「M1」の研究開発、製造、試験飛行、耐空証明取得などに充てられる。

御風未来は上海市と広東省・香港・マカオから成るグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)に研究開発、製造、試験飛行などの拠点を複数設けている。M1の初号機は静的試験を終えて組み立て工程に入っており、今月にも完成する予定。その後、全機システムの地上試験を進め、今年第2四半期(4~6月)の初飛行を目指す。

有人eVTOLのM1

「空飛ぶクルマ」とも呼ばれるeVTOL業界は、まだ成長初期の段階にあるが、参入業者が次第に増え、投資家の関心も高まっている。2021年の資金調達件数はわずか6件だったが、22年には10社以上が、23年の年初にも数社が資金を調達した。

中国eVTOLメーカーの資金調達状況

すでに米国に上場した「億航智能(EHang)」を除く中国のeVTOLメーカーの資金調達額を見ると、「小鵬匯天(Xpeng Aeroht)」は累計5億ドル(約680億円)以上、「峰飛航空科技(AutoFlight)」は1億ドル(約135億円)で、御風未来の他にも「時的科技(TCab Tech)」「沃蘭特(Volant)」が1億元(約20億円)を超えた。一方で多くの企業がエンジェルラウンド、シードラウンド、プレシリーズAなどのアーリーステージにとどまっている。御風未来の謝陵CEOは「eVTOL業界はまだ手探り段階にあり、技術、飛行機のタイプ、有人・無人操縦、貨物輸送用などで各社の選択も異なる」と話した。

「空飛ぶクルマ」、日本初の有人飛行に成功 中国EHang社の機体を採用

業界のプレーヤーは3つのグループに分けられる。1つ目はエンブラエル、エアバス、ボーイングに代表される航空機メーカー。2つ目はフォルクスワーゲン、トヨタ、小鵬汽車(Xpeng Motors)、吉利(Geely)などの自動車メーカーで、3つ目は米Joby Avation、独Lilium、億航智能や峰飛航空科技などのスタートアップとなる。

御風未来は民間旅客機に求められる「10のマイナス9乗(10億時間の飛行で許容される致命的故障の回数は1回)」といった安全性を確保した上で、使用コストをできる限り抑え「誰もが利用できるエアモビリティ」を実現することが大切だと考えている。

飛行機で最も重要なのは大脳となる飛行制御システムだ。このシステムはセンサーが収集したデータに反応し、舵面の振れやモーターの回転数などを制御することで航空機の姿勢と位置を変化させる。同社はこの飛行制御システムを自社で開発することでeVTOLの安全性を確保している。

飛行制御システムの改良には、同社の産業用ドローン(中・小型eVTOL)ブランド「福昆」が蓄積してきたデータも欠かせない。福昆のドローンがアルゴリズムやソフトウエアの検証、飛行データの蓄積、配電システム機器のテストを重ねてきたことで、試作機の飛行制御システムは応用や改良ができる。福昆のドローンは中東諸国に販売され、警備、救援、測量、物資投下などに幅広く使われている。

機体は主翼に加え、垂直離着陸の揚力と巡航の推力をそれぞれ生み出す独立した動力システムが搭載されている。この機体構造は複雑さと維持コストが低い、安全性が高い、耐航性が確保しやすいなどのメリットがある。M1には16枚の垂直離着陸用ローターと4枚の巡航用ローターがついている。

同社は中・小型eVTOLから大型貨物輸送用eVTOLへ、そして有人eVTOLへと、貨物輸送用と有人の機体開発を段階的に進めてきた。うち大型eVTOLは多くの受注を獲得し、ヒマラヤの厳しい気象の中でも貨物輸送に使われているという。

(翻訳・大谷晶洋)

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