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インドのソーシャルECプラットフォーム「GlowRoad」がシリーズB+で1150万ドル(約12億6500万円)を調達した。出資者は、中国ライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」にも出資している韓国の「Korea Investment Partners(KIP)」とシンガポールの政府系VC「Vertex Ventures」。調達した資金は人材採用と業務拡大に充てられると伝えられた。
2017年6月設立のGlowRoadは、商品のサプライヤと販売者を結びつけるソーシャルECプラットフォームを提供している。プラットフォームには、提携契約しているサプライヤ側の商品および最安値が表示されており、その中から、販売者が個人的に売りたい商品を選択し自分の店舗に追加する。販売者が自ら販売価格を設定した上で、WhatsAppやInstagram等のSNSメディアを介して商品の購入リンクをシェアし、SNSユーザーがリンクから商品を購入すれば、販売者の収益になる。また、そのユーザーがさらにシェアすることで、二次、三次的購入による収益も見込める。
GlowRoadは、2017年9月にシリーズAで280万ドル(約3億円)を調達した。リードインベスターはインドの大手ECサイト「Flipkart」や「Myntra」にも出資する米「Accel Partners」。また、2019年3月にはシリーズBで中国「鼎暉投資(CDH Investments)」やAccel Partners等から1000万ドル(約11億円)を調達している。
GlowRoadプラットフォーム上の商品は、衣服や宝飾品を中心として約10万SKU、客単価は50~60元(約800~960円)。
GlowRoadのサプライチェーンはシンプルで、倉庫も持たない。配送は業務提携を結んでいる「XpressBees」や「Ecom Express」といった現地の物流会社が担う。
インドのAmazon等の一般消費者向け(BtoC)ECプラットフォームは、顧客獲得コストが高額であるため、サプライヤからも高い手数料を徴収している。一方、GlowRoadは販売者向けにSNSシェアシステムを提供しているため、顧客獲得コストを抑えられ、取引毎にサプライヤから徴収する手数料は他のECプラットフォーム(AmazonやFlipkart)よりも安い。
このほか、GlowRoadは大部分のサプライヤとパートナーシップ協定を締結しており、これらのサプライヤはGlowRoadのみに商品を供給する。それによって、GlowRoadは商品の供給において、高い競争優位性を持っている。
現在GlowRoadは、インドの1000以上の都市に20万ものパートナー販売者を擁し、このうち主婦が半数以上を占める。資金不要で自ら価格を設定でき、自由な時間にオンラインで販売できるため、主婦はソーシャルECプラットフォームの主力販売者となっている。インドの調査会社「Zinnov」によれば、インドにはソーシャルECプラットフォームで生活用品やアパレル用品を販売する主婦が約200万人いるという。
GlowRoadのチームは、長年の経験をもつシリアルアントレプレナーを中心に、80名のメンバーで構成されている。共同創業者のKunal氏が創業に携わったモバイル銀行と遠隔医療サービス企業は買収され、イグジット(EXIT)に成功している。
出資者の鼎暉投資の張耿華副総裁は、「ソーシャルECプラットフォームは中国ですでに成功しているモデルであり、インド市場は中国以上にソーシャルECに適した土壌が整っている」と語る。
消費者側から見れば、インドのモバイルインターネット人口は4億人を超え、そのうちインターネットショッピングのアクティブユーザーは1億人である。多様な言語が使用されるため、インターネットショッピングをする際には、SNSを通じて販売者のサポートを受けられる仕組みが必要である。
販売者側から見れば、SNSを通じた代理販売を行い、収入を得たいという人は大量に存在している。Kunal氏によれば、プラットフォームを利用する販売者のうち、68%は地方の小規模な市や町に住む主婦または学生だという。
サプライヤ側から見れば、SNSを通じた販売は費用がかからないだけでなく、販売者とのやり取りを通じてコストパフォーマンスの高い商品を消費者に提供でき、インターネットショッピングにおける「返品率が高い」等の問題点も解決できる。
米投資銀行メリルリンチは、2025年にインドのEC市場が2200億ドル(約24兆2000億円)規模に成長すると予測している。
(翻訳・桃紅柳緑)
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