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中国のテック企業はコーポレートカラーを重要視する傾向にあるようだ。生活関連O2Oサービス企業「美団点評(Meituan Dianping)」は先月、傘下で展開する全事業のイメージカラーを黄色に統一した。主力事業のフードデリバリー以外にも、モバイルバッテリーの充電サービスやシェアサイクルなどで黄色を使用している。
同社のシェアサイクル事業はもともと「モバイク(摩拜単車)」の事業を買収したものだが、コーポレートカラーを創業時のオレンジから黄色に変更することとなった。
コーポレートカラーが大事な理由
美団の今回の決断は、傘下にあるオンライン事業、オフライン事業を含めてビジュアル的な統一を図ることが目的だ。配達に使用するデリバリーボックスは黒などの例外もあるが、街中のあちこちを走る黄色いユニフォームの配達員を見るだけで、人々の脳裏に美団が浮かぶようになれば、ブランドとしての宣伝効果は十分だろう。同社の発表によると、2018年時点で美団が抱える配達員は270万人だ。
情報過多の現代において、人々の注意力は散漫になっている。ブランド認知を広めるためには、時には「炎上商法」も採らざるを得ないほどだ。その点、「色」は非常にシンプルでインパクトの強いアピール要素となる。
消費者は多くの場合、商品を通じて企業を認知する。企業理念や企業活動を具体的に認知してもらうのは難しいが、視覚に訴える要素はそれに先んじて消費者の記憶に残る。企業内部でも、統一されたビジュアル・アイデンティティ(VI)は従業員間の共通認識や団結力を高め、企業文化の形成にも役立つ側面がある。美団が買収したモバイク事業も同様に、コーポレートカラーの統一が企業グループの一員としての立ち位置を固める一助となるだろう。
事業規模の拮抗する複数の企業が激しい競争を繰り広げるような業界では、強烈な企業イメージを確立することが消費者の意思決定に影響を及ぼすことがある。デリバリー、EC、動画共有サービスなどの分野ではその傾向が顕著だ。
さらに、色は消費者心理に影響を及ぼす。例えば、赤やオレンジは購買欲をかき立てるとの研究結果がある。EC大手の「タオバオ(淘宝網)」や「京東商城(JD.com)」、「拼多多(Pinduoduo)」などもこれらの色を採用している。
大都市と比べて、地方都市の場合は広告の露出機会が少ない。公共交通機関やエレベーターなど、広告を掲出する空間が少ないからだ。それでも、コーポレートカラーを用いて大々的にアピールをする方法はある。最も典型的な例が、スマートフォンメーカー「OPPO」「vivo」の戦略だ。両社は街中の販売店を主要な販路としているため、店舗にコーポレートカラーを採用することで広告効果をより高めている。
マスコットキャラクターの役割
コーポレートカラーを打ち出すのではなく、マスコットキャラクターを前面に出す企業もある。オンライン事業を主力とする企業はその傾向が強い。
ECモール「天猫(Tmall)」は、アルファベットのTをかたどったネコのキャラクターでおなじみだ。同じく大手ECモール京東商城は、イヌをマスコットキャラクターとしている。両社による競争は、「イヌネコの戦い」とも評された。
そのほか、テック系企業ではテンセント(騰訊)のペンギン、「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」のアリ、美団のカンガルーなど、広く知られたマスコットが多い。
擬人化されたこれらのキャラクターは、ブランドの定義やユーザーの需要を巧みに体現する。天猫のネコは、無論そのサービス名と紐づけられたものだが、同時に、えり好みが激しく、モノや環境への要求も厳しいネコのイメージと、トレンドや品質をストイックに追及するブランドのイメージを重ね合わせている。京東のイヌも同様に、誠実で正直、行動が迅速なイメージの比喩となっている。
(翻訳・愛玉)
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