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「蜜雪氷城(Mixue Bingcheng)」はタピオカミルクティーなどのティードリンクやアイスクリームを提供するスタイルと価格の安さで、中国でZ世代を中心に人気を博している茶飲料チェーンだ。現在、フランチャイズ方式中心の店舗展開を進めており、中国国内の店舗数は同業他社をはるかにしのぐ2万2000店余りとなっている。
そんな蜜雪氷城が昨年12月6日、同社の日本事業を紹介する、ソーシャルEC「小紅書(RED)」アカウント「MIXUE.Japan」で表参道エリアに1号店を出店すると正式に発表した。同月22日には2号店を池袋立教大学前に出店すると明らかにしている。
日本1号店は現在まだ工事中だ。同社海外市場部のある社員によると、今年3月頃の開店を予定しており、開店後は試験運営の段階を経て「ビジネスモデルが完成すれば、すぐにフランチャイズ募集を始める。大体5月末頃となるだろう」ということだ。
「コストパフォーマンスの王様」と呼ばれている蜜雪氷城の、中国での平均的な販売価格はミルクティーが6〜8元(約120〜160円)、アイスクリームが2元(約40円)。日本でもほぼ同等の価格設定で、ミルクティーを10元(約200円)前後、アイスクリームを2.5元(約50円)前後で提供するとの情報もある。
同社は2018年には「MIXUE」というブランド名でベトナムのハノイに1号店をオープンし海外市場に乗り出している。21年末までにベトナムの店舗数は200店を超え、同年12月にはマレーシアにも展開。海外進出4年にして、海外の店舗は1000店を超えている。
トレードマークの雪だるまが印象的な蜜雪氷城だが、日本でも成功できるのだろうか。日本で中国企業の海外進出事業を手掛けている廖氏は同社の立地選定に疑問を呈している。「表参道は高級ブランドが立ち並ぶ場所で、安いミルクティーのためにわざわざ行く人が多いとは思えない。もしも在日中国人をターゲットにするのならば、彼らは池袋や西川口、上野、高田馬場などに集中しており、表参道にはほぼいない」とし、さらに「蜜雪氷城は日本で使用するブランドロゴに中国語のピンイン表記MIXUEをそのまま使っているが、日本人には読めないうえ記憶に残りづらいだろう」と話した。
タピオカミルクティーブームも今は昔
日本における中国系ミルクティーの先駆けとなったのは、1983年創業の台湾茶飲料チェーン「春水堂」だ。春水堂は2013年、代官山に1号店をオープン。17年までには7店舗を展開し、ピーク時は1日1000杯を売り上げた。日本で店舗数が最も多いのは、同じく台湾発の「ゴンチャ(貢茶)」だ。15年に原宿に1号店を出店したのち急拡大し、今では100店以上を構える。このほか「CoCo都可」「happylemon(快楽檸檬)」などの茶飲料チェーンが日本で展開している。
あれだけ世間を騒がせた日本のタピオカミルクティーブームだが、市場は飽和状態で、街中には似たような商品があふれるようになった。その後コロナ禍などの影響もあり、ブームはすっかり冷めつつあるようだ。
日本の情報サイト「FASHIONSNAP」によると、19年には表参道に26店舗あったミルクティー店のうち21年までに18店が閉店しているという。大阪税関によると、日本のタピオカ輸入量は18年から激増し、19年8月には2600トンとなったが、それ以降は減少し、20年8月には270トン前後にまで落ち込んでいる。
最近では中国国内で人気の茶飲料チェーン「奈雪的茶(NAIXUE)」も21年7月に大阪市道頓堀に出店したものの、1年後にはひっそりと閉店し日本から撤退している。同じく中国の「喜茶(HEY TEA)」は20年、渋谷で出店準備を進め、日本語版のTwitterや食べログのHPまで作成していたが結局オープンすることはなかった。
蜜雪氷城の快進撃は日本でも続くのか。今後が期待される。
原文:WeChat公式アカウント「霞光社(ID:Globalinsights)」 李小天
(翻訳・山口幸子)
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