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車載電池世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)はつい2カ月前の23年2月、一部の電気自動車(EV)メーカーにバッテリーの「値下げ計画」を提示したと報じられた。しかし、バッテリーの主要原料である炭酸リチウムの相場が短期間で急落し、計画が立ち消えになる恐れが出てきた。
CATLは今後3年間にわたり、一部のバッテリーを炭酸リチウム1トン当たり20万元(約380万円)の価格で決済する計画で、バッテリーの8割を同社から調達することを条件としている。計画は2023年7〜10月期に実施に移される予定で、 対象となっているメーカーは、同社と関係の深い理想汽車(Li Auto)や蔚来汽車(NIO)、賽力斯集団(SERES Group)、極氪智能科技(ZEEKR Intelligent Technology)などだという。
この情報が報じられた23年2月当時、中国では炭酸リチウムの価格が1トン当たり44万元(約850万円)にまで高騰していた。バッテリーのコスト上昇にあえいでいたEVメーカーにとって、非常に魅力的な計画だったことは言うまでもない。
ところがその後、炭酸リチウム価格が急落し始めた。4月6日時点で1トン当たりの価格は21万6000元(約420万円)まで下がっている。
中国メディア「澎湃新聞(The Paper)」の取材に応じた業界関係者は、炭酸リチウム価格の底がまだ見えない状況下で、EVメーカーがCATLの提示した「値下げ計画」の条件で契約する可能性は低い上、バッテリーの8割を同社から調達しなければならないという条件も厳しすぎると指摘した。
中堅車載電池メーカー「孚能科技(Farasis Energy)」の王瑀会長はこのほど、EV振興団体「中国電動汽車百人会」が開催したフォーラムで、炭酸リチウムの価格は年内に1トン当たり10万元(約190万円)以下まで下落する可能性があるとの見通しを示した。
*23年4月12日のレート(1元=約19.4円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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