中国、AIやビッグデータ活用した漁場予測技術 漁獲高4割増もコスト低下

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人工衛星やAI、ビッグデータなどの技術を利用し、漁業に役立てるクラウドサービスプラットフォームを展開する中国企業「寧波漁遥科技(以下、漁遥科技)」は、海洋環境を立体的に観測し、漁場を正確に特定することで漁業者に「ワンストップ」の漁場情報サービスを提供している。高精度で魚群を見つける支援をすることで、海上でのあてのない作業時間を減らし、漁獲高を上げていくことが狙いだ。

漁遥科技は2021年3月に設立され、これまでに漁業者を支援するサービスとして「漁遥漁鷹」をリリースしている。

「漁場予測」は死活問題に関わる技術だ。中国の漁業者は現在でも漁場や魚群を見つけるのに旧来の経験や運に頼りながら、果てしなく広い海上を探し回る。作業コストがかかり、経済的効率も悪く、技術力が低いといった課題が中国の漁業を長く苦しめてきた。

漁遥科技を創業した何宏昌社長と趙燕来副社長は1990年代、漁場予測を手がける米大手「Ocean Imaging」でマグロやイカの漁場予測技術開発に携わってきた。衛星リモートセンシングやAI、ビッグデータ解析など高度な技術を海洋環境データのインバージョン(逆計算)や漁場予測のプロセスに取り込み、空と海を連携させた高解像度・高頻度の海洋環境データ、魚群の生物的特性データ、漁業者の作業データを結集して、漁場予測のための質の高いデータを提供する。また、AIを活用してさまざまな海洋環境、さまざまなライフサイクルにおける魚群の生物的習性をシミュレーションし、予測の精度、インテリジェンス、実用性などの課題解決に挑んでいる。

何氏によると、同社の漁遥漁鷹はイカとマグロの漁場予測で正確度が約76%に達しており、海外の類似サービスの50%を大きく上回っている。空間解像度は5海里メッシュで、こちらも海外の類似サービスの30海里メッシュを遥かに上回っている。

すでに160隻以上の漁船が漁遥漁鷹を利用して中国沿海や大西洋、太平洋、インド洋でイカやマグロ、イワシ、サバ、マテアジなどを獲っている。漁遥科技提供のデータによると、漁遥漁鷹を使うと漁獲高は40%以上増え、海上での作業コストは約30%減らせるという。

創業メンバーのうち、何社長はOcean Imaging在職中に、現在ではクロマグロやキハダマグロ漁に広く用いられている漁場予測システムの開発を主導した。趙副社長は浙江省の特別招聘専門家で、東京大学で地球惑星物理学の博士号を取得している。同社の現在の従業員数は30人ほどだ。

(翻訳・山下にか)

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