ゴミ管理条例によるアメニティ提供規制と宿泊客のニーズのギャップを埋める「楽湃」自動販売機

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ホテルに新たなAIセールスソリューションを提供する「楽湃(ecaca)」は近ごろ、プレシリーズA+で数百万元(約数千万円)の資金調達を行い、調達した資金は主に市場の開拓に投じられるという。同社は今年4月にプレシリーズAで数千万元(約数億円)の資金調達を行ったばかりだ。

楽湃は2016年創業で、最初は自動販売機の運営業者だったが、後にホテル用AI自動販売機の「鵲客智能吧」を開発した。「ホテルの客室用に製造された販売機で、二次元コードをスキャンして決済し、買い物することができる。バックヤードでは販売状況をリアルタイムで追っており、ホテルは収集した営業データをもとに取扱品目の調整や商品補充などを行う。作業員がチェックのために客室に入る必要がないため、人件費を抑えられると同時に、宿泊客がチェックアウトする際に、購入した商品に関するプライバシーを守ることもできる。

現在、鵲客智能吧で販売している商品は、食品や現地の特産品、ベビー&マタニティ商品、化粧品が主で、SKUは合わせて1000種以上で、各販売機で取り扱うSKUは7~10種だ。最近になって実施された「上海市生活ごみ管理条例」により、上海のホテルでは歯ブラシやくしなど6点を備品として提供できなくなったが、鵲客智能吧はそれに伴うニーズを満たす優れたソリューションだ。

創業者の湯志成氏によると、過去に似たような政策が定着しなかった原因は、宿泊客の宿泊体験に影響を及ぼすと同時に、ホテルの運営コストが増加するためだったという。ホテルにしてみれば、鵲客智能吧で6つのアメニティグッズを有償提供すれば宿泊者に不便をかけることなく、条例の要求を満たすことができる。現在のところ、ホテルが鵲客智能吧で提供している6つのアメニティグッズの売れ行きは好調で、1日平均500~1000元(約8000~1万6000円)の売り上げ増につながっている。

しかし、鵲客智能吧の位置付けは単なる販売機ではない。自販機による物品販売が同社の売り上げに占める割合はわずか10~20%だ。しかし、その設置規模を十分に拡大すれば、ホテルの客室をプレシジョン・マーケティングの場にできる。鵲客智能吧を通じて抽選キャンペーンや、化粧品などの試供品提供、地元特産品の試食サービスなどを行い、多くの企業が宿泊客に新商品をPRできる体制を築くほか、顧客の利用データを日帰りツアーや配車予約などの第三者サービス業者に接続することもできる。

現在、楽湃はEC大手のアリババ(阿里巴巴)や京東(JD.com)などと提携しており、両社の出店業者に対し、鵲客智能吧を通じたサンプル品配布や、集客の支援を行っている。これを利用することで、従来は100元(約1600円)以上かかっていたオンラインでの顧客獲得コストをわずか数元(数十円)にまで削減できるという。

また、楽湃は世界の三大ホテルグループのサプライヤー企業と提携して新たな販売方式をテスト中だ。エルメスやフェラガモなど高級ブランドの関連商品の販売を手掛けるという。

楽湃はフランチャイズ形式を採っている。自動販売機1台当たりの設置費用は200元(約3200円)から800元(約1万2800円)で、平均1年で元金の回収が可能だ。現在、鵲客智能吧は数百店のホテルに設置されており、200万室の客室をカバーしている。現在は毎月2~3万台ペースで設置が進んでおり、北京や上海、広州、深圳など大都市が主だ。同社の収益モデルは設備の販売、小売、広告などで、週あたり200万~300万元(約3200万~4800万円)を売り上げ、過去半年間の成長率は200%を超えている。
(翻訳・虎野)

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