アリババ次世代スーパー「盒馬鮮生」 3年間の総括と今後の展望(下)

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アリババ次世代スーパー「盒馬鮮生」 3年間の総括と今後の展望(下)

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組織・インセンティブ制度・文化

組織、インセンティブ、教育制度について

「アリババを102年続けたい」というのはジャック・マー会長が掲げている目標だが、侯氏は、アリババも盒馬も「102年経営」が実現可能だと信じている。

今年、盒馬は組織再編や改革へのインセンティブ支給に取り組む予定だ。様々な問題に対応するために、ソフトパワーの強化と同時に、サプライチェーンやチャネルといったハード面の整備も必要不可欠である。

盒馬には、社内のリーダー育成システムが必要である。様々な人材育成プログラムを通じて、2~3年後には社内から幹部候補生を輩出することを目指している。

きめ細やかな経営と企業文化の形成

盒馬は今年初めて「きめ細やかな経営」を掲げ、コスト意識を持つようになった。例えば「店舗の床を大理石にする必要があるか」等、合理性を考えて無駄をなくそうとしている。小売業の本質に立ち返れば、顧客が望むのは良い商品を迅速に手に入れることである。これはオンラインもオフラインも変わらない。そして、企業は顧客が望むサービスを提供しつつ利益を上げるために、コストと効率を考えなければならない。盒馬が望むのは、地域に根を下ろしながら独自の文化を築き上げ、中国小売業を代表する企業となることだ。

企業文化とは、長年の経営の中で少しずつ形成されるものだ。盒馬のコアバリューは、生活をより便利に、楽しくすることである。盒馬に行けば良い物が買え、食べたいものが食べられるというのが理想だ。盒馬の今年のKPIは戦略的企業文化の構築と組織再編だという。盒馬はイノベーション企業だが、それ以上にバリューをもった企業なのだ。

オンラインとオフラインの違い

トラフィックを稼ぐために、一度に莫大な資金を投じるEC業界とは異なり、盒馬は地に足のついた企業である。オフライン小売業ではむやみに価格競争を仕掛けることはできない。盒馬はこの点に関して極めて厳格であるという。侯氏は、アリババ出身の社員に対し、まず「アリババにいたことを忘れなさい」と声をかける。IT企業出身者の多くは、やや上から目線な印象を与えてしまうからだ。

このため、EC出身者の意識改革は容易ではない。彼らは「販促活動を行えば一気に売り上げが200%になる」という世界に慣れてしまい、1つ1つ小さな事の良し悪しを検討し、きめ細やかな対応ができるマネジメント能力には長けていない。

だからこそ侯氏は、テクノロジーを駆使してオフライン小売業に変革を起こすと同時に、オフライン小売業に携わる人々の勤勉さ、1円でも大切にする精神を従業員に伝えていこうとしているのだ。

地方展開の必要性

永輝との比較

侯氏は、ライバルである騰訊(テンセント)系の生鮮スーパー「永輝超市(Yonghui Superstores)」について、ここ2年間の組織再編によって、多くの家族経営企業が成し得なかった「脱家族経営」を果たしたことを高く評価した。永輝は、バラ売りモデルで成功した典型例である。無敵のサプライチェーンを持ち、上海の外環路周辺等、都市部と郊外の境目となる地域でバラ売りモデルを展開し、大きな評判を得た。ただし、品質面はやや劣っている。

永輝のビジネスモデルが適した地域は、マンションの価格相場が坪単価10~13万元(約160~210万円)の地域で、例えば地方都市の成都や武漢がこれに当たる。しかし、上海の坪単価が16.5万元(約270万円)以上の中心部には通用しなくなるという。

侯氏にとって、中国国内で学ぶべき企業は永輝だけだという。盒馬が永輝より優れている点は、プライベートブランドの開発能力だ。半調理食品や調理サービスで食品の鮮度を保ったまま提供するモデルは、いずれも自社で開発したものである。

「盒馬鮮生(Hema Fresh)」というネーミングも、若い世代を中心に人気を博している。また、新業態の「盒馬菜市(Hema Caishi)」は、地域密着型の青果市場で、より庶民的で親しみやすい店舗となっている。これは、業態は異なるが、品質は盒馬鮮生(Hema Fresh)と全く同じである。

オフライン店舗の経営に対する反省

これまで盒馬は、オンラインとオフラインにおける会員、商品、価格、マーケティング、支払いという5つの統一を目指してきた。ニューリテールとは、「別々だったオンラインとオフラインを1つに統合させること」だと理解されていた。しかし、侯氏は今、この「5つの統一」に対する見方を再考しているようだ。

盒馬は従来型の小売業の優れたモデルを引き継ぎながら、より良いモデルを模索している。いかにオフラインを強化し、オンラインのトラフィックをオフラインに活かすかが今後の課題となるだろう。

侯氏にとってニューリテールとは、常に単位面積当たりの売上高といった売り場効率の向上を求めながら、オンラインとオフラインをリンクさせていくことを目指すものなのである。
(翻訳・桃紅柳緑)

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