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車と人をつなぐ視覚化インターフェースを開発する中国トップのソリューションベンダー「沢景汽車電子(New Vision Automotive Electronics、以下「沢景」)」がシリーズDで2億元(約39億円)を調達した。出資したのは中国の音声AI大手iFLYTEK(科大訊飛)傘下の訊飛創投のほか、架橋資本(Bridge Capital China)、長江資本(Changjiang Capital)など。
高工智能汽車研究院のデータは、中国市場でAR-HUDの普及が急速に進んでいることを示している。2022年、HUDが標準搭載された乗用車の納車台数は前年比38.12%増の150万400台(輸出入分は含まない)となり、乗用車全体の7.53%に上った。中でも急速に伸びているのがAR-HUDで、標準装備車の納車台数は前年比115.75%増の10万9600台だった。今年中に、標準装備HUDのうちARーHUDの占める割合が20%に達する可能性もあるという。
沢景はスマートコックピット周りの表示技術やディスプレイ製品として中国で最も早くAR-HUDを取り入れた企業だ。W-HUD(フロントガラス反射型ヘッドアップディスプレイ)、AR-HUD(拡張現実型ヘッドアップディスプレイ)、CMS(カメラモニターシステム)、Aピラー透明化、透明ウィンドウディスプレイなどを手がけている。独自のイノベーションとゼロベースの開発で自動車のインテリジェント体験を向上させると同時に、AR-HUDをコックピット操作の中核に据え、運転の安全性を高めている。
沢景は光学・AR・AIなどに関わるコア技術を確立し、取得した特許やソフトウェア著作権の数は業界でも群を抜いている。車内空間の視覚HMI(ヒューマンマシンインターフェース)の成熟したエコシステムの構築に力を注いでおり、自社製品の量産を実現して、中国のHUD開発企業では初めて合弁自動車メーカーの認定サプライヤーとなった。中国の主要自動車メーカーのほとんどと取引関係にあり、同社のHUDを搭載する車両は今年、累計100万台に達する見込みだ。
「沢景の設立当時、中国にはHUDに対応できる産業的基盤がなかったため、技術面で大きな壁があった。また、弊社の製品が市場に出た当時、HUDはごく一部の高級車種にしか搭載されておらず、エンドユーザーの間ではほとんど知られていなかった」。沢景を創業した張波氏はこのように述べている。
中国市場でADAS(先進運転支援システム)や自動運転レベル2+(高度な部分自動運転)の普及が急速に進み、AR-HUDもインテリジェント端末として徐々に不可欠な存在となってきた。より高度な自動運転ではフロントガラスに情報を表示するだけでなく、車外前方の風景に重ね合わせて道路・歩行者・車両・建物などより多くの情報にアクセスする必要があり、ドライバーに注意を促すことで効果的に事故を防ぐ。張氏によると、同社は現在、エコシステムのパートナーと協力してインターフェースの使用感を向上させる取り組みを進めている。例えば、今回の出資者でもあるiFLYTEKが持つ音声AIの技術と沢景の視覚HIM技術の優位性をかけ合わせて、より高度な製品の可能性を探ることもできる。
コストが下がり、性能が向上するのに伴い、AR-HUDは低・中価格帯の車種にも徐々に浸透してきており、もはや高級車限定のオプション装備ではなく、スマートカーや新エネルギー車の標準装備となりつつある。
沢景ではHUD製品に関する技術全般を確立し、設計からシミュレーション、さらにテストに至る全エンジニアリングチェーンを自社で完結できる。多くの技術やノウハウを自社開発のツールに集積させ、新製品開発の効率を大幅に高めた。最新版AR-HUDは表示サイズが70インチで、光学的性能も、現実の風景との融合効果も業界最先端の水準となっている。サイズも極限までコンパクトになり、さまざまなメーカーの幅広い車種に搭載できるようになった。運転を支援するAR機能の数々によってユーザーのモビリティ体験は大きくレベルアップし、将来的には高精細の大画面でゲームや映画なども楽しめるようになるだろう。
中国のテクノロジー産業研究機関・億欧智庫(EO Intelligence)のレポートでは、HUDの市場規模が22年に90億5000万元(約1800億円)にまで拡大し、今後も急成長を続けて、25年には317億4000万元(約6200億円)規模になると予想している。
(翻訳・山下にか)
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