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大規模な商業化にはなかなか進めないでいる多くの自動運転技術企業にとって目下、最も重要なのはデータの蓄積や技術の改良、また不測の事故への対策ではなく、市場がどのような技術や製品を求めているかを見極めることだ。
2017年に設立された中国のスタートアップ企業「恵爾智能(Whale Dynamic)」はこのような考えの下、5年以上にわたり技術開発を進める中で、徐々に自社の「ターゲット」を定めていった。レベル4の乗用車向け自動運転技術を足がかりに、公道を走れる小型無人車両を開発し、これをクラウドサービスと抱き合わせで販売する。主要ターゲットは欧米、中東、日本、韓国などだ。
なぜ海外をターゲットにするのか、創業者の常宇飛氏は以下のように説明する。技術的に見ると、ロボタクシー(無人運転タクシー)はマーケットとしては最も大きいが、難易度も最も高い。乗客の安全を確実に守りながらスピーディーな移動も求められる。そのため、ロボタクシーは多くのセンサーを搭載し、より複雑な技術的検証を行う必要がある。無論、コストを下げるのは難しく、収益化に漕ぎ着けるのは困難だ。
ロボタクシーの次にマーケットが大きいロボトラックも、同様の問題を抱えている。まず車両そのものが高コストで削減の余地がなく、一部の運営企業は継続的な運営コストを負担することになる。コーナーケース(ごくまれにしか発生しない状況)も数限りなく、一度事故が起きれば、企業のプロジェクト自体が終了に追い込まれる。
これらに比べ、小型車両は実用化やコストコントロールの面で有利だ。とくに欧米諸国では都市部と地方の格差が比較的小さく、道路状況も均質化が進んでいるため、単一のモデルを国中に適用できる可能性が大きい。また、貨物を配達する場合も配達先は庭付きの住宅ばかりで、集合住宅のように階をまたいで昇降する必要がないため、エンドユーザーまでの配達がそれほど難しくない。
恵爾智能は独自にフルスタック開発したレベル4の自動運転技術を基礎に、一から開発を進めた。まず乗用車向けのアルゴリズムを検証して、シャシ・バイ・ワイヤーのアルゴリズムを編み出し、最終的に公道を走れる量産型の無人車両に活かした。
こうして出来上がった無人小型車両は、メーカーと提携したり国産製品を採用したりすることで高価なセンサーにかかる費用を抑えた。アルゴリズムも小型車両の特性に合うよう変更した。例えば、小型車両は搭載できるバッテリー容量に上限があるが、車載コンピューティングユニットを調整するなどして低出力でも走行できるように改良し、信頼性を保証している。
これらの試みの結果、恵爾智能はセンシング、経路計画、制御、測位、マッピング、バイワイヤープラットフォームの機能をそれぞれモジュール化し、マルチセンサーフュージョン測位、高精度地図生成、マルチセンサーフュージョンセンシング、プレフュージョンハードウェア設計、コントロール・バイ・ワイヤーへの転換およびシャシ、乗用車レベルの意思決定・制御の6つのコア技術を確立した。
将来的に事業を乗用車にまで拡大する可能性について、常氏は、国土の狭い日本やシンガポールなどに適した小型車を手がけ、海外からスタートできればとの考えを明かした。
常氏は英ケンブリッジ大学でナノ技術を研究し、修士号を取得。中国のIT大手バイドゥ(百度)の自動運転開発プラットフォーム「Apollo」でシニアプロダクトマネージャーを務め、自動運転車用音声AIやADAS(先進運転支援システム)の開発を主導した。その他のコアメンバーもバイドゥのほか、通信機器大手ファーウェイ、中国科学院などトップ企業や研究機関の出身だ。
同社のマッピング関連の製品は昨年、日本や英国などに進出済み。日本や韓国などアジア諸国の視察も進めており、数カ国で小型無人配送車の仮発注も獲得したという。また、無人配送車両の量産や人材募集、チャネル開拓に充てるため、近く新たな資金調達を予定している。
(翻訳・山下にか)
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