Xiaomi(シャオミ)上場後の1年を読み解く キーワードは「組織再編」「サブブランド」「時価総額」

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中国のスマートフォン製造大手シャオミ(小米科技)が、昨年7月に香港上場を果たしてから1年となる。

上場1周年の前日となる7月8日、同社の株価は公開価格から43.5%下げた9.61香港ドル(約130円)をつけた。同日の取引終了時、同社の時価総額は296億ドル(3兆2000億円)となった。

上場後の2018年第2四半期から2019年第1四半期までの期間、同社の売上高は1842億6000万元(約2兆9000億円)で、非国際会計基準(Non-IFRS)による調整後純利益は89億4000万元(約140億円)だった。2017年第2四半期から2018年第1四半期までの1年間と比較して、いずれも約40%増となっている。

上記の数字は、シャオミが上場してからの1年が紆余曲折だったことを示している。株価収益率(PER)が下降し続けたことからも、資本市場が同社をインターネット企業とみなしていないことが見て取れる。同社の看板であるスマートフォン事業では、国内外ともに出荷台数で低迷が続く。反して、人員数や商品体系など、事業体としては拡大を続けている。こうした不均衡を調整するため、同社は大胆な組織再編を断行している。

シャオミのこの1年を読み解くキーワードは、組織再編、サブブランドのスピンアウト、時価総額の目減りの三つだと言える。

小刻みな組織再編

上場2カ月後の昨年9月を皮切りに、シャオミは事業部の新設、統合や再編、委員会の設置などを頻繁に行っている。今年5月には雷軍CEOが中国地区総裁に就任し、国内事業の拡大と組織管理を自ら手掛けることとなった。

これらの再編は、日増しに拡大する従業員数や事業規模への適応策であり、また、部分的には応急措置でもある。前者はシャオミが組織的にベンチャー企業から大企業へ転換したことを示しており、後者は国内事業や主力のスマートフォン事業の立て直しを意味する。

スマートフォン事業はシャオミにとって全事業の核心であり、時価総額に最も影響する根幹だが、上場後の出荷台数が伸び悩んでいる。その主因は国内市場での不振だ。上場後の3四半期にわたって、国内の出荷台数は2ケタペースで落ち込みが続いている。

メインブランド「Mi」とサブブランド「Redmi」のダブル戦略

シャオミが抱えるスマートフォンブランドは正確には五つあるが、事実上の中核ブランドは「Mi」と「Redmi」の二つだ。

この二つを明確に切り分けることにより、同社が従来、最大のセールスポイントとして掲げてきた「コストパフォーマンス」はサブブランドのRedmiが一手に担うことになり、メインブランドのMiは素材や価格帯、ブランドの方向性において縛りをなくした。Miブランドはハイエンドモデルを手がけるようになり、若い女性にターゲットを絞った製品シリーズ「Mi CC」など、より細分化された領域にも足を踏み入れている。

昨年後半、シャオミは国内市場でRedmiブランドの新製品を発表していないため、国内外とも出荷台数の伸びが鈍ったが、新製品の発表を再開してからは販売台数もなかなかの好成績を出している。今後はメインブランドのMiが高価格帯市場で安定した成果を出せるかどうかが重要になってくるだろう。

時価総額の大幅下落

上場当初はインターネット企業とハードウェア企業の中間値をつけていたPERが下がり続けており、現在は15.50倍となっている。アップルのPERが15.46倍であることからも、同社のPERがハードウェア企業の水準になっていることがわかる。

シャオミはインターネット企業としての立ち位置をアピールしたいところだが、同社の売上高に占めるインターネット事業の割合は10%程度にとどまっている。中核事業がスマートフォンを筆頭とした電子機器製造であることから見ても、シャオミはあくまで「インターネット事業を重視するハードウェア企業」であり、決して「ハードウェア販売も手がけるインターネット企業」ではない。

中信証券の資料より

それでも、複数の証券会社はシャオミの今後の業績に楽観的な見方を示している。「中信証券(CITIC SECURITIES)」のアナリストらは、今後3年にわたり、シャオミは売上高・利益の双方で成長を続け、純利益は25%以上の成長率で推移するとみている。また、中信証券をはじめとする国内の複数の証券大手は、シャオミ株の格付けを「買い」としている。
(翻訳・愛玉)

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