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新型コロナウイルス流入防止のための水際対策が緩和され、観光地で外国人旅行者を見かけることも増えてきた。ガチ中華ウォッチャーとして気になるのが、アフターコロナのガチ中華への影響だ。2017年頃から少しずつ増えたガチ中華の店は、コロナ禍で居酒屋などの飲食店が撤退し、賃料が下がったテナントに出店することでここ数年店舗数を伸ばしてきた。このトレンドは今後も続くのだろうか。関係者に話を聞いてみた。
上野のガチ中華はムスリムも取り込む
「上野エリアのガチ中華店は今後も増え続けると思います」と話すのは首都圏200店舗以上のガチ中華店にメニュー端末を提供する株式会社iDの楊さんだ。
「観光地として有名なので中国人だけでなく日本人、外国人観光客の流入も見込めるのが魅力的と考えるオーナーが多いです」(楊さん)
確かにアメ横近辺はここ1〜2年でガチ中華を出す店がかなり増え、訪れるたびに新しい店を見かける。今年3月にオープンした淮南牛肉湯の店員によると最近は外国人客も増えていて、特に牛肉水餃子が人気だそうだ。豚肉が食べられないムスリムの観光客の来店も多いという。中華料理と日本食を区別しないでガチ中華の店に入る観光客が多いのではないかと推察していたのだが、こういった理由で中華が選ばれているケースもあるようだ。
最近では観光客向けのフルーツ店や居酒屋などの経営にも中国人が関わっているケースもある。楊さんによると焼肉屋やラーメン屋などを新たにオープンさせる中国人も多い。
高田馬場は留学生増加が追い風でガチ中華も増えるか
楊さんは「最近中国人留学生が増えているので、語学学校が多い高田馬場のガチ中華も増えるのではないかと予想しています」と話す。中国人が日本を訪れる観光ビザを取得するハードルはまだ高いが、留学ビザは取得しやすくなった。出入国在留管理庁によると2022年はコロナ禍の2021年と比較して2年ぶりに外国人留学生の数が増加している。高田馬場で中国人学生向けの学習塾を経営する鄭さんは「2023年はコロナ禍の過去2年と比較すると、留学生の数が増加する見込みです。コロナ前の2019年の水準に戻るにはあと2〜3年かかりそうですが、人数は今後も増えるので、ガチ中華の数も増えるのではないでしょうか」と話す。
留学生をターゲットにしているからか比較的リーズナブルに食べられる店も多い。1000円程度で食べられる定食屋も充実しており、都内を中心に日本で複数店舗展開している中国発チェーン店「沙県小吃」や「楊銘宇 黄燜鶏米飯」、「J.Chicken」は、高田馬場がいずれも1号店だ。5月には中国のチェーン店で台湾風唐揚げが食べられる正新鶏排がオープンする。
楊さんは「中国人はビジネスチャンスだと感じたらすぐに流行に乗るので、上野、高田馬場、池袋などは今後も店が入れ替わりながら増えていくのではないでしょうか」と話す。シェアサイクルが流行った際には各社が資金を投入して、シェア取り合戦が行われたが、ガチ中華でも同じような状況が起こりつつあるのだろう。競争が起こることでこれまで食べられなかった地方都市の中華料理が食べられるようになったり、より洗練された美味しい料理が食べられるようになるはずなので、個人的には競争の激化には期待したい。
(作者:阿生)
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