1回で11億円を売り上げる話題のインフルエンサーとは? 中国ライブコマース市場での成功ストーリー

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中国のインターネット業界で過去数カ月、最も話題に上ったのが「ライブコマース」だ。大手ECタオバオ(淘宝網)傘下のライブ配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」は昨年、GMV(流通総額)が1000億元(約1兆5800億円)を突破したという。また、今後3年間でGMV5000億元(約7兆9000億円)を目標としているという。

その淘宝直播をけん引するNo.1インフルエンサーが薇婭(viya)だ。2016年にライバー(ライブ配信者)としてデビューし、今年6月に行われたECの販促セール「618」では取引額5億元(約80億円)を突破した。これは小規模なECプラットフォームの年間GMVに相当する額だ。

彼女が所属するMCN(マルチチャンネルネットワーク)「謙尋機構」は、彼女の夫である董海鋒氏が創業した。夫婦の二人三脚で切り開いてきたインフルエンサービジネスの足跡は、以下のようなストーリーだ。

チャンスを見定め、勝ちに行くスピード感

薇婭と董海鋒夫妻はもともと衣料品店を営んでいたため、ファッションに明るいという素地があった。2003年、北京に開業した店は絶えず盛況で、夫妻は自ら生産工場を立ち上げるまでになる。

その人気の秘密は「歩く看板」――つまり、薇婭本人だった。彼女が身に着ける商品が、最も売れ行きがよかったという。北京五輪が開催された2008年、夫婦は事業の拠点を西安に移転し、4年間で7店舗を経営するようになる。

さらなる転機が訪れたのは2012年のことだ。Eコマースが台頭し、小売店は大きな打撃をこうむった。多くの客は店頭で商品を選ぶだけ選び、実際の購入はオンラインショップで行うというケースがよく見られるようになった。店舗経営に見切りをつけた夫妻は、わずか半月で7つの店舗をすべて畳み、広州へ飛んだ。そして、Eコマースの運営に専念するようになる。

しかし、店舗経営のノウハウがあっても、それをそのままEコマースに当てはめられるわけではない。わずか1年で200万元(約3200万円)以上の損失を出し、自宅を売り払って運営資金に充てたこともあった。それでも、Eコマース市場の底力を肌で感じた夫妻は事業を続け、2015年には販売額3000万元(約4億8000万円)以上を達成した。

2016年、EC超大手のタオバオから薇婭にスカウトの電話が入る。タオバオが力を入れ始めていたライブ配信事業に、主要ライバーとしての参加を打診するものだった。試験配信を行った初日、夫妻はライブ配信の絶対的な可能性を確信するに至ったという。少なくとも、ライブ配信は彼女の能力を存分に発揮してくれるものだという感触が得られた。

「実店舗を経営していた時代には、顧客は彼女のコーディネートに惹かれて商品を買っていた。しかし、オンラインショップに移行してからは、商品をアピールする素材がテキストと画像に限られるようになり、彼女の能力が存分に発揮できなくなっていた。これを解決してくれるのがライブ配信だった。ユーザーに対してダイレクトにプレゼンテーションを行うと同時に、ユーザーとの交流も図れる」と夫の董氏は説明する。

2016年にライバーとしてデビューした薇婭は、翌年にはあるファー製品ブランドのPRを担当し、たった1回の配信で7000万元(約11億円)という破格の取引額を記録した。これはライブコマースの巨大な潜在力を見せつける象徴的な出来事となった。

ライブ配信に臨む薇婭

8000ブランドを取り扱う自社サプライチェーン

薇婭が淘宝直播の初期インフルエンサーとして成功した後、そのマネジメントを行う謙尋機構が2017年に設立された。その時すでに、淘宝直播関連のMCNは200以上も存在していたという。その上、MCNが淘宝直播に正式参入するには厳しい条件が設けられていた。そこで、董氏は既存のMCNを引き継ぐ形でこれに参入し、現在では36人のライバーを抱える組織にまで成長させた。

1人のライバーと契約して、研修を施し、PRする商品を当てがい、配信デビューに至るまでには、7~10日間を要する。謙尋機構では3カ月の試用期間中、ライバーを解雇する選択肢も設けているうえ、報酬は完全出来高制を採っている。基本給はない。ライバー1人をマネジメントするメンバーは、その人気やランクに関わらず、最低で4人と定めている。

各ライバーがPRする商品の選定過程も厳しく管理している。品質を審査し、各プラットフォームでの販売価格を確認し、出店業者からサンプル品を取り寄せて試用し、ようやく商品が決まる。すべての配信データと視聴者のペルソナをライバーにフィードバックし、コンテンツの質も高めていく。

謙尋所属の人気ライバー

ライバーの育成以外に、謙尋機構が持つ強みはサプライチェーンだ。これまで10数年にわたって経営してきた衣料品店を通じ、独自のサプライチェーンができあがっている。傘下のライバーがPRする商品はすべて自社のサプライチェーンが手がけたものであり、価格やオリジナリティに絶対的な競争力を持つ。ライブ視聴者の声も即座に新商品に反映することができ、年間で数千SKUに上る商品を世に送り出している。

薇婭の影響力はアパレル商品以外にも及び、現段階で謙尋機構が提携するブランドは8000に上る。また、彼女の名を冠したコスメブランドの立ち上げにも着手している。これが成功すれば、他のインフルエンサーでも同様の商品企画が実現できると踏んでいる。

薇婭のファンイベント

さらに、今年後半には大規模な供給拠点の建設も計画している。自社サプライチェーンで取り扱う商品がすでに数千ブランドに及ぶため、これらを一同に集めた施設を新設する。2万平方メートル以上の敷地に大型ショッピングセンターの形式で運営し、ライバーが店員として顧客に直接商品を売るシーンも想定している。
(翻訳・愛玉)

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