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海外ではTikTok(抖音)のアプリ内課金が安定した伸びをみせている。米調査会社のSensor Towerのデータによると、「バイトダンス(字節跳動)」傘下のショート動画共有アプリ「抖音」と海外版「TikTok」のアプリ内課金による収益増が続いており、6月には世界で1080万ドル(約11億8000万円)の最高額に達した。
中国の「抖音」では主に「抖幣」と呼ばれる専用コインが使用され、価格は10コイン=1元(約15円)で、6元(約90円)から購入が可能だ。ユーザーは自分のコインを使ってバーチャルプレゼントを購入し、これが動画配信者への投げ銭(少額の支援金)に充てられる。配信者は受け取ったプレゼントを換金できる仕組みだ。
今年6月、TikTokのアプリ内課金による収益は前年同月比588%増、また前月比でも19%増となっており、現時点で世界のApple StoreとGoogle Playにおけるアプリ内課金は、中国での公式アプリストア以外でのダウンロードを除き、総額1億1300万ドル(約124億円)を突破している。
表面的には申し分ない数字だが、内訳を見ると問題が潜んでいる。今年上半期のTikTokのアプリ内課金の増加は主に中国市場によるものであり、アメリカ市場では伸び悩みをみせているのだ。伸び率でいえば、6月の中国のiOSユーザーによる課金額は今年1月比で271%の大幅増となったが、アメリカでは16%減となっている。また貢献率で見ると、中国のiOS市場でのアプリ内課金は収益全体の69%を占める一方、アメリカ市場での収益は21%と前年同期の52%から大幅減となった。
現時点で、世界のiOSとAndroid上のTikTok累計インストール数は12億7000万回となっており、昨年の海外でのダウンロード回数はInstagramをはるかに上回った。だが今年6月のインストール数は、前年同月の6070万回に比べ7%減の5670万回にとどまっている。
中国以外での伸び悩みは、監督管理の引き締めと大きく関係している。TikTokは今月、イギリス政府から「完全にオープン」なプラットフォームにおいて子供が不適切な内容を目にする可能性を指摘され、調査を受けた。問題が認定されれば、売上高の4%に相当する1790万ポンド(約22億7300万円)の罰金が科されることになる。
さらに今年2月、米連邦取引委員会(FTC)はCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)違反により、TokTokに570万ドル(約6億3000万円)の罰金を課した。これはCOPPA史上、最高額の罰金となっている。FTCのジョセフ・シモンズ委員長によれば、TikTokが過去に買収したMusical.lyでも同様の問題が指摘されており、保護者の同意を得ることなく児童の個人情報を収集していたという。
続いて今年4月、インドとバングラデシュではTikTokのアプリストアからの削除が命じられた。バイトダンスは異議を申し立てており、その後アプリの禁止措置は解除されている。最新情報によると、バイトダンスは1億ドル(約106億円)を投資してインドにデータセンターを建設したとのこと。
海外版をリリースしたものの目立った業績につながっていないWechat(微信)と比べれば、TikTokは中国産アプリが海外進出に成功した一例といえる。とはいえ、この勢いを保つには課題が多く、前途多難であることは間違いない。今後は監督管理の厳しさも増す一方だろう。
(翻訳・神部明果)
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