誤差5センチ以下、自動運転社会を支える高精度地図「DeepMap」とは

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誤差5センチ以下、自動運転社会を支える高精度地図「DeepMap」とは

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カーナビや地図アプリなどに利用されてきた地図システムは、人が目視することを前提として作成されてきたが、将来の自動運転車の普及を見込んで、通信機器に読み込ませるための高精度な地図の開発が進んでいる。HDマップ(高精度3D地図)と呼ばれるもので、レベル3以上の自動運転車にとっては必須のインフラだ。

2016年に米シリコンバレーで設立された「DeepMap(高深智図科技)」も、HDマップの生成を手がける企業だ。2018年には中国法人も設立し、北京と広州に拠点を構える。同社に出資してきた企業やVCにはそうそうたる面々が並ぶ。2017年には米大手VCのAndreessen Horowit(アンドリーセン・ホロウィッツ)をはじめ、米老舗VCのAccel Partners(アクセル・パートナーズ)、中国のVC金沙江創投(GSR Ventures)が出資し、今年のシリーズBでは前出の3社に加え、ゴールドマンサックス、米半導体大手NVIDIA傘下のGPU Ventures、自動車部品大手ボッシュ・グループ傘下のRobert Bosch Venture Capital(ロバート・ボッシュ・ベンチャー・キャピタル)、アル・ゴア元米副大統領が設立した投資会社Generations Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)が出資に加わっている。

同社が手がけるHDマップは自動運転レベル4を対象としたもので、LiDARを用いて点群データを収集し、ベクトルデータを生成する。従来型の自動車メーカー、自動運転関連のスタートアップ、地図制作企業など幅広い企業に向け、各社の需要に応じた個別のソリューションを提供している。

同社の中華圏部門で総経理を務める劉澍泉氏によると、HDマップの生成には三つの難関がある。一つ目は、同一地点で異なる時間帯、異なるアングル、異なるセンサーなど、不揃いな条件の下でデータを収集し、生成する難しさ。二つ目は、これらのデータを統合して、整合性を持った一つの地図にまとめていく難しさ。三つ目は、こうした地図を大規模に生成していく難しさだ。

DeepMapの製図過程(画像提供:DeppMap)

地下駐車場などGPS(全地球測位システム)の電波が届かない場所の製図については、多くの企業が高額設備を導入して対応しているのに対し、DeepMapでは廉価なセンサーを数多く組み合わせて多面的な点群データを収集し、ICP(反復最近接点)アルゴリズムを活用してこれらのデータをマッチングさせる手法を採り、コスト面で差別化を図っている。

劉氏によると、同社が提供する地図データは「相対精度」に基づくものだ。GPSのような「絶対精度」を伴うものとは異なる。しかし、絶対精度はあくまで観測上の平均値を指しているものであり、誤差の発生を防ぐことはできない。DeepMapは地図精度を誤差5センチ以内、測位精度を誤差10センチ以内に収めている。一般的な地図製品では平均して20センチほどの誤差が出るという。

また、同社は地図データ収集用の専用車を持たず、顧客の所有車両やレンタカーを用いている。仮に比較的大規模な地図を生成する際も同様だ。例えば、北京市全体の地図を毎日更新するとしても、タクシー会社やバス会社、ゴミ収集業者などと提携し、彼らの業務用車両上部に機器を設置することでデータ収集を代行してもらう。車両に取り付けるセンサーはLiDARのほか、フロントカメラ、GPS、IMU(慣性計測装置)で、いずれも3万ドル(約320万円)程度の設備だ。頻繁な更新のために日々採集し続ける膨大なデータは、AIを活用しクラウド上で高速処理していく。

自動運転車メーカーが専門業者を通さず、独自に地図生成を行うようになる可能性については、劉氏は「限定的な地域なら可能だが、広範囲にわたる地図の生成は難しいだろう」とする。製図には画像セグメンテーション(収集した画像に写り込んでいる被写体がそれぞれ何かを識別する技術)が必要だが、これを正確に機能させるには各国・地域の路面表示や道路標識、交通法規などについて把握していなければならない。地図に特化した企業でなければ正確な製図は難しい。DeepMapは欧州、米国、日本などの各国で地図を生成した経験があり、これを絶対的な強みとしている。

HDマップは掲載地域が広範囲になるほどデータ処理のコストが薄まる。また、自動運転が普及すれば各自動車メーカーは自社設備を使って更新作業を行うことができるため、地図制作企業としては設備導入のコストが省けるようになるだろう。
(翻訳・愛玉)

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