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正面から撮影した写真1枚と20枚以上の追加写真をアップロードするだけで、さまざまな写真を生成できる。証明写真のほか、古代衣装を着た姿、日本の制服風ファッション、イブニングドレス姿などバリエーションは多彩だ。
この手軽な写真生成サービスを提供するのは、AI写真アプリ「妙鴨相机(StyleArt)」。7月17日の正式リリース直後から多くの若いユーザーの興味を引き、サーバーが危うくダウンするほどだった。
実際アプリのリリース後、妙鴨相机の写真生成の待ち時間は長くなる一方で、7月20日夜のピーク時には4000〜5000人が順番待ちし、待ち時間は十数時間に及んだ。妙鴨相机の最大の魅力は簡単操作で画像を生成できるほか、手頃な価格設定と高いクオリティーにある。
基本の証明写真が200元(約4000円)、綺麗に加工した写真がややもすれば500元(約1万円)以上する人気写真館の「海馬体(HIMO)」や「天真藍(Naive Blue)」、あるいは1セット30~40元(約600~800円)の最も簡単なセルフの自動証明写真機に比べ、妙鴨相机はたった9.9元(約200円)だ。
フォーマル、レトロなどスタイルの異なる30種類以上のテンプレートが利用できるほか、出力された画像は、一見してAIによる生成と分からないほど自然だ。ソーシャルメディアに写真をアップしたユーザーは、そのクオリティーの高さから写真館に行く必要は全くないとないと投稿する。
妙鴨相机の創業者張月光氏は2012年に清華大学コンピュータサイエンス・テクノロジー学部を卒業後、アリババやバイトダンス(字節跳動)に勤めた。18年に退職して創業し、数百万ドル(数億~十数億円)を調達した。20年7月に再びアリババに入社し、プロダクト担当のシニアエキスパートを務めた。
妙鴨相机は現在アリババのデジタルメディア及びエンターテインメント事業部門の傘下にあり、独立した会社ではない。中国の企業情報サイト企査査(Qichacha)によると、妙鴨相机の運営元「未序網絡科技(Weixu Network Technology)」はアリババ傘下の動画プラットフォーム土豆網(Tudou)を運営する企業だ。
海外ではすでにAIを使った画像生成アプリが複数登場している。例えば写真編集アプリ「Lensa」のAIアバター作成機能 Magic Avatarsは、昨年末から急速に人気を集め米国、カナダ、英国などのアプリストアのダウンロードランキングで1位を獲得している。1日のダウンロード数は最高で1500万回を超えた。
しかし妙鴨相机はリリースからたった2日で、アプリの利用規約が非難の的になった。このバージョンの利用規約では、ユーザーのデータは妙鴨相机が営利目的を含むさまざまな用途に無期限使用できるとしている。このため多くのユーザーがアカウント取り消しの方法を調べ、データの安全性に疑問を呈した。
このデジタル時代に、顔データの利用は常に懸念がつきまとう。生成した人物の画像があまりによくできているため、データが不用意に流出してしまえば、AIで顔を差し替えた画像が詐欺のような犯罪に容易に使われてしまう。対話型AI「ChatGPT」を開発したOpenAIも、訓練データの著作権とプライバシー保護の問題から批判や懸念にさらされており、データセキュリティーをいかに確保するかが、目下AI生成アプリの直面する最大の問題になっている。
利用規約が疑問視されたことを受け、妙鴨相机は7月20日にWeChatの公式アカウントやソーシャルコマースプラットフォーム「小紅書(RED)」、コミュニティアプリ「即刻(Jike)」など複数のプラットフォームで謝罪文と規約の変更を発表し、写真はアプリ内の生成サービスにのみ使用し、生成後は自動で削除することを約束した。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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