ChatGPTブーム、中国の貧困地域に恩恵。AI用データのタグ付け、単純作業でも月給14万円

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甘粛省積石山県に住む張娟さんは今年5月、大規模言語モデル(LLM)用のデータのタグ付け(アノテーション)の仕事を始めた。彼女は24歳、短大卒だ。積石山県は経済発展の遅れた地域で、2022年の住民1人当たりの可処分所得は年間2万6258.5元(約53万円)、月平均は2188.2元(約4万4000円)で、農村部になるとさらに低い。しかし、アノテーションの仕事をする張さんは月給の平均が7000元(約14万円)に達し、時には1万元(約20万円)を超えることもある。

大規模言語モデルの訓練に使用するデータのタグ付けは今年中国で大きな注目を集めた職業だ。あらゆるものをタグ付けし、そのタグをもとにAIが深層学習する。アノテーターとはこのタグ付けをする人のことだ。

簡単なタグ付けは技術的に難しくない。例えば、張さんの仕事は写真の中に鳥や自動車が写っているか、録音の中にどんな言葉があるか、医学関係の映像の中に腫瘍があるかなどで、短大卒の彼女でも十分対応できる。

2023世界AI大会に参加する張さん

積石山県のような経済発展の遅れた地域にアノテーションの仕事を発注するのは、浙江省杭州市にあるアリババグループ傘下の金融会社アント・グループ(螞蟻集団)だ。大規模言語モデルのブームに伴い、今年に入ってアリババ、バイドゥ、テンセント、バイトダンスといったインターネット大手が「モバイルインターネット時代最後のチャンス」と呼ばれるこの分野に相次いで投資している。

アント・グループの関係責任者は、こうした発注は本質的には地方政府と提携する公益プロジェクトだと話す。アント・グループが仕事の一部を経済発展の遅れた地域に発注することで、新しい技術がより多くの人に広く恩恵をもたらすことを狙っているのだという。

アノテーションという職業は今年になって誕生したのではなく、その始まりは2011年にまでさかのぼる。ビッグデータ、クラウドコンピューティング、インターネット、IoTなどの情報技術の進歩に伴ってAI用にデータのタグ付けを外注する市場が誕生し、2017年には爆発的に拡大した。

そして今年に入ってChatGPTの登場により大規模言語モデルが一大ブームを巻き起こすと、アノテータの需要も急増した。人手不足が急激に進み、この職業も次第に人々に知られるようになった。元々AIに仕事を奪われると心配していた人々も、AIが新しい仕事を生み出すことをようやく理解するようになっている。

公益プロジェクトに注力するアント・グループとは異なり、大規模言語モデル分野で急拡大しているバイドゥは技術開発に注力すると同時に、各大学と提携して産官学共同で大規模言語モデルの構築や専門性の高い人材育成を進め、大学生の職業選択の道を広げている。

AIが一般人にチャンスをもたらしているのは、中国だけではない。例えば、Open AIがアノテーションを外注するSamaの従業員は、ウガンダ、ケニア、インドなど給与水準が比較的低い国の出身者だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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