原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
子どもの頃、どのようにして自転車に乗れるようになっただろうか。最初は補助輪付きの自転車で練習したという人がほとんどかもしれない。しかし補助輪付きの自転車で乗り方を学ぶのは最善とは言えないという。「補助輪に頼ると自転車に乗るのに必要なバランス感覚が養われず、かえって自転車に乗るのを難しくしてしまう」。子ども向け自転車メーカー「優貝童車(RoyalBaby)」創業者の仝立新氏はこう語る。
仝氏によると自転車の乗り方を学ぶ最も合理的な順序は、まず足で地面を蹴って進む練習をし、その後ペダルをこぐ練習をするというものだ。しかし中国の子ども用自転車市場には補助輪があふれているため、バランス感覚を身につけるどころか単なる三輪車の練習になってしまい、7~8歳になってもまだ補助輪を外せない子どもがいるほどだ。
こうした観察をもとに、優貝童車では2022年に子ども用自転車「RoyalBaby EZ」をリリースした。子どもの体型に合わせたフレームに加え、ワンタッチでパーツを付け替えられる特許技術を取り入れて、足で蹴って進むキックバイクとしても自転車としても使用できる。補助輪をなくし、子どもがバランス感覚を養いながらスムーズに自転車に乗れるようにした。
優貝童車によると、この自転車はECプラットフォームの購入者評価で100%「良い」を獲得し続けている。キックバイクで練習した子どもなら30分ほどで自転車に乗れるようになったと、多くの保護者が報告している。
優貝童車は2009年に設立されてから、子ども用自転車の開発、生産、販売を一手に手がける総合企業へと成長し、主力ブランドの「Royalbaby(優貝)」のほか低価格のサブブランド「Chipmunk(奇萌客)」、自転車競技BMX用の「XPHOTON(菲騰)」を展開している。
優貝童車で使用される部品の80%以上は独自開発の特許技術を使っている。また設計や材料選定、製造の全プロセスで安全性を第一に考えており、子どもの小さな手でも握りやすいブレーキレバーや、さまざまな路面に対応できる滑りにくいタイヤなど、細部に至るまで子どもの安全に配慮した作りになっている。
同社はこれまでに国内特許137件、国際特許15件を取得し、ドイツのレッドドット・デザイン賞やiFデザイン賞、中国のレッドスターデザイン賞などを受賞している。
設立から14年を経て、優貝童車の自転車は世界88の国や地域で販売されるようになっており、ウォルマート系列の会員制スーパー・サムズクラブ、コストコ、アマゾンなどでも取り扱われている。特にBMXタイプの自転車は、米アマゾンの子ども用自転車カテゴリで2014年以来ずっと販売数トップを保っているほか、22年にはドイツアマゾンの同カテゴリで「ベストセラー」に輝いた。
仝氏らは2013年に、中国の出生数がこの先激減すると予測し、海外事業を大々的に推し進めてきた。その予測は的中する。中国の普通出生率(出生数を総人口で割った数字)は3年連続で1%を下回り、昨年1年間の出生数は956万人と、1950年以来初めて1000万人を割り込んだ。
このような現状にもかかわらず、優貝童車はここ2年の間に事業の重心を海外から中国市場へと戻し始めている。その理由は主に2つある。まず、中国のミドル~ハイエンド市場が引き続き拡大をつづけていることだ。「過去に500元(約1万円)以上する子ども用自転車は非常に少なかったが、中国EC大手・京東(JDドットコム)によると現在では市場全体の2~3割を占めるまでになっており、今後もこの比率は拡大していくとみられる」と仝氏は語る。
もう一つは、最も競争の激しい中国市場で成功できれば、世界市場でも戦っていけると考えたからだ。「中国市場ではブランディングなどのさまざまな経験を積むことができる。将来的には中国での成功経験を『コピー・フロム・チャイナ』としてグローバル市場に生かせるかもしれない」
(翻訳・畠中裕子)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録