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バイトダンス(字節跳動)は8月末、無料読書アプリ「紅果免費小説」をローンチした。アプリストアの情報をみると開発者はバイトダンスの完全子会社「北京臻鼎科技有限公司」。バイトダンスが運営する学習サービスソフトウェア「好好学習」も同社の開発によるものだ。
バイトダンスが無料読書アプリを手掛けたのはこれが初めてではない。以前にも「番茄小説」というアプリをローンチしたが、現在は当局からの是正命令を受け、3カ月間のサービス停止中で、7月15日以降は更新されていない。無料読書アプリで一度はつまずいた同社だが、この市場を狙う野心的な姿勢に変わりはないようだ。
紅果小説のアプリ画面を見ると、メニューボタンの設計やコンテンツの系統は番茄小説と似通っており、「無料読書+広告」というビジネスモデルも共通している。だが今回ローンチされた紅果小説ではユーザー会員制が導入されており、毎月6元(約90円)の会費で広告をオフにできる。このシステムは「趣頭条(Qutoutiao)」が開発した「米読小説」や大手動画配信サービス「愛奇芸(iQIYI)」による「愛奇芸閲読」などでも採用されている。
他社の読書アプリとの違いとして、バイトダンスが手掛ける紅果小説と番茄小説では、読書量に応じたキャッシュバックが受けられる。読書時間に応じてコインが獲得でき、コインが一定額に達すると現金化できる仕組みだ。趣頭条はこの方式を自社アプリに採用し、巨額の赤字を出したことで物議を醸したが、「米読」には導入されていない。
バイトダンスのこの制度にも一理あることは否定できない。番茄小説は、ローンチまもなくAppストアの読書アプリランキングで3位につけた。4位のテンセント系「微信読書」、5位のアリババ系「書旗小説」を抑えての快挙だった。だが、ブームは一過性のものだったようだ。モバイル関連データ統計会社「Quest Mobile」のデータによれば、月間アクティブユーザー数(MAU)が1000万人以上の電子読書アプリの中に、現在バイトダンスのアプリはランクインしていない。
このような背景のもと、「無料読書+インセンティブ」という手法は料金を支払うことに敏感なユーザー層の取り込みに有効なのかもしれない。バイトダンスに限らず、バイドゥ(百度)も無料読書アプリ「七猫小説」に出資したばかり。Quest Mobileによれば同アプリは電子読書市場全体で第3位、無料読書市場では首位を獲得している。
無料読書サービスはその誕生当初からネット文学市場で大きな波紋を呼んできたが、同時に市場に新たなユーザーを呼び込む窓口の役割も担ってきた。バイトダンスにしてみれば、このチャンスを逃す手はないだろう。
(翻訳・神部明果)
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