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第19回アジア競技大会が、アリババグループ本社のある中国浙江省杭州市で開催されている。この大会は、クラウド上で初めて運営されるアジア大会としても注目が集まっている。アリババクラウドをはじめ、同社の各事業部門は大会の需要に合わせたサービスを提供し、大会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える重要な役割を果たしている。
世界保健機関(WHO)によると、現在、世界人口の約20%にあたる15億人以上が難聴を患っている。アリババクラウドは、10月22日から28日まで開催されるアジアパラ競技大会向けに、聴覚障害者向けのAI手話通訳者、デジタルヒューマン「シャオ・モー(中国語:小莫)」を導入することを発表した。同社は22年の北京冬季オリンピックでもバーチャルキャスター「ドンドン(冬冬)」を開発した実績がある。
アリババクラウドは、シャオ・モーを決済プラットフォーム「アリペイ(Alipay)」のミニアプリに統合し、スマートフォン一台で手話と中国語音声の双方向翻訳を実現した。
ユーザーが音声メッセージを入力すると、シャオ・モーが即座に音声を手話に翻訳することができる。一方で、高度な視覚認識アルゴリズムとモーション追跡機能を活用し、手話者のジェスチャーをスマホに認識させることで、速やかに音声言語に変換することも可能だ。
手話はジェスチャー、表情、体の動きを組み合わせて表現されるため、音声言語とは異なる独自の音声学、語彙、文法がある。今回の開発にあたって、アリババクラウドは、中国浙江省全域の手話使用者や聴覚障害者から収集し注釈を付けた2万5000個の手話ジェスチャーをまとめた手話翻訳データセットを作成したという。
アリババクラウドのアルゴリズムエンジニア・張邦(Matt Zhang)氏は、シャオ・モーは現時点で中国語のみに対応しているが、基盤技術はすでに確立されているため、中国語以外の言語の手話データを収集することができれば、多言語への適用も短期間のうちに可能になると述べている。
シャオ・モーはさらに、アジア競技大会のニュースチャンネルにも組み込まれており、大会のアナウンス機能のアクセシビリティを向上させている。
シャオ・モーの他にも、アリババクラウドは、アジア大会期間中の低炭素行動を奨励するサステナビリティ関連のアプリも立ち上げた。このアプリは、アジア大会に参加する選手やジャーナリスト、スタッフが利用することができ、公共交通機関の利用、廃棄物のリサイクル、食品廃棄物の削減など環境に配慮した行動を実施すると、カーボンポイントが付与される。このカーボンポイントを貯めると、大会の限定ピンバッジや低炭素製品と交換できる。発表によると、9月16日に選手村が開設されてから、約7トンの二酸化炭素削減を記録した。
(36Kr Japan編集部)
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