中国シェア上位の電子署名「esign」、大規模言語モデルを導入。AI活用で“スマート契約”のエコシステム構築へ

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中国シェア上位の電子署名「esign」、大規模言語モデルを導入。AI活用で“スマート契約”のエコシステム構築へ

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AIが産業に変革をもたらし、その変化が今あらゆる業界に及んでいる。電子署名の分野も例外ではない。特に大規模言語モデル技術の恩恵を受け、書面の契約書のデジタル化がさらに加速し、電子契約の機能も次第に強化されている。電子契約サービスを手がける「e簽宝(esign)」はこのほど、大規模言語モデル(LL)分野における自社サービスの進捗状況を公表した。

e簽宝は中国の電子署名分野における先駆者で、企業や公的機関、個人ユーザーに対し、電子契約の全ライフサイクルに関わるサービスを提供している。2021年9月にはシリーズEで、セコイア・キャピタル・チャイナやIDGキャピタル、隠山資本(Hidden Hill Capital)などから、業界最高額の12億元(約240億円)を調達した。米調査会社IDCが2022年12月に発表した「2021年中国電子署名ソリューション市場レポート」によると、同社は中国国内の電子署名市場でシェア26.7%を占めトップに立った。

電子契約「e簽宝(esign)」が約204億円調達、政策の追い風

e簽宝を創業した金宏洲CEOによると、同社は大規模言語モデルや業界の専門データ、蓄積してきたノウハウを結集し、契約に関わるライフサイクル全体の管理についてAIの機能を以下のようにグレードアップした。

1.契約書の作成。ユーザーの要望に沿って契約書本文や条項を自動生成する。

2.契約書審査。契約における各条項を分析し、潜在的な問題やリスクの発見をサポートする。

3.ドキュメントの要約。契約書の重要な情報を抽出し、理解しやすい形式に変換して要約を自動生成し、ユーザーが契約内容を迅速に閲覧し理解できるようにする。

4.契約書の自動管理。情報抽出機能を使って契約データを構造化し、契約書の自動分類と保管・検索ができる。

特筆すべきは、こうしたAIの能力は電子契約だけでなく書面の契約書にも活用できるという点だ。書面の契約書をスキャンしてアップロードすれば、AIモデルが自動的に契約情報を解析し、電子契約とともにデジタル化した管理が可能になる。

このAIシステムは今年9月下旬にリリースされた。今後は、例えばテンプレートの内容を識別して自動入力する機能や、個人の署名の筆跡判別など、契約管理に関わるシーンでAI技術の実用化を引き続き模索するという。

金CEOが言うように、大規模言語モデルを使った契約管理はまだ始まったばかりだ。AIの力を借りることで、電子署名業界のキーワードは「電子契約」からより高度な「スマート・コントラクト」へと徐々に変化しつつある。電子署名技術が登場したことで書面の契約から電子契約へと「ゼロから1へ」変化したとすれば、AIはこれを「1から無限大へ」と変化させ、生産性を高め企業の事業効率アップを助けることができる。

電子署名がデジタル時代に欠かせないインフラであることに今や疑いの余地はない。電子署名の普及率の高まりとともに、導入期も終わろうとしている。

企業にとっては、電子署名による契約の電子化は始まりにすぎない。その真の価値は契約の電子化によって可能になるスマート・コントラクトとその契約管理にある。e簽宝はこうした分野に注目し、まず自社のePaaSプラットフォームと署名管理を一体化した電子契約クラウドプラットフォームを発表した。また、多くの業界と手を組んで電子署名サービスの業界エコシステム構築も進めている。

例えば、アリババ傘下の企業向けコミュニケーションツール「釘釘(DingTalk)」との提携では、スマート・コントラクト機能を釘釘の基礎に組み込んだ。ユーザーはひとつのアプリケーションの中で契約書の起草から審査、署名という全プロセスを完了することができる。このサービスにより釘釘ユーザーの作業効率は2倍になってリスクは90%減少し、e簽宝の客単価は6倍以上高くなった。

金CEOによると今年8月末時点で、世界企業番付のフォーチュン「Global 500」にランクインした企業100社以上、また300社を超える大手中央企業(中央政府管轄の国営企業)などの国有企業や180以上の地方政府が同社のサービスを利用している。個人ユーザーは1億2000万人、法人ユーザーは610万社にのぼり、有料会員は累計で30万人に上る。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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