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中国スマートフォン・IoT機器大手シャオミ(小米集団)傘下で電気自動車(EV)事業を手掛ける「小米汽車」が、レンジエクステンダーEVの開発をすでに決定しているという。複数の関係者が明らかにした。小米汽車はレンジエクステンダーシステムの設計・開発や排気システムのエンジニアなどレンジエクステンダーEV関連の人材を募集している。
小米汽車は現在複数のEVプラットフォームを開発中で、第一世代プラットフォームが来年に、第二世代プラットフォームが2025年に発表されるという。時間的に見て、レンジエクステンダーEVの発売は第二世代プラットフォームが完成した2025年以降とみられる。以上の情報について小米汽車に問い合わせたが、本稿執筆時点で回答は得られていない。
シャオミの雷軍CEOは2021年4月、EV事業にまず100億元(約2000億円)を、長期的には100億ドル(約1兆5000億円)を投じる計画を発表した。小米汽車はその後の製品計画にレンジエクステンダーEVを加えている。
レンジエクステンダーEVはプラグインハイブリッドカー(PHEV)に分類され、現在急成長している。中国自動車工業協会のデータによると、今年1~7月にピュアEV(BEV)の販売台数が前年同期比29.5%増の326万台だったのに対し、PHEVは同87.4%増の126万台だった。
小米汽車は2024年に量産車を発売し、3年で累計90万台を売り上げる計画を立てていることがこれまでに報道されてきた。BEVだけでこの目標を達成することは難しいが、PHEVを加えた2本柱なら安定した数字を見込めるようになる。小米汽車だけでなく、これまでBEVをメインにしてきた極氪汽車(ZEEKR)もレンジエクステンダーEVの販売を計画している。こうした流れは容易に理解できる。テスラ以外にBEVだけで安定して販売台数を維持できるブランドはほとんどないからだ。テスラですら、BEVとPHEVの両方を扱うBYD(比亜迪)に新エネ車販売台数トップの座を明け渡した。2022年の年間販売台数はテスラが130万台、BYDが186万台だった。
BEVが普及するうえでコスト高、充電場所の不足、充電時間の長さが足かせになっている。しかし、レンジエクステンダーEVやPHEVならこれらの問題も改善できる。レンジエクステンダーEVではエンジンは発電にのみ使用されるが、一般的なPHEVはバッテリーの電気が少なくなるとエンジンの力で走る。どちらもガソリンを使用する。
PHEVは、バッテリー駆動と省エネの強みを維持しながらもBEVのように充電で焦らなくてすむ点が受け入れられ、販売台数が増加した。現在販売されているBEVの航続距離は900キロを突破できていないが、レンジエクステンダーEVはガソリンも併用して1400キロ以上になる。
老舗や新興の自動車メーカーが今年に入ってから相次いでPHEVを投入している。吉利銀河(Geely Galaxy)、長安深藍(Deepal)、零跑汽車(Leap Motor)などのブランドがPHEVを発売し、ほとんどが販売台数を伸ばした。
電圧800Vの急速充電なら、BEVの航続距離の懸念を一部解決できるとの期待もある。理想汽車(Li Auto)初のBEV「MEGA」は「12分の充電で500キロ走る」というガソリン車に近い燃費をうたったが、想定価格は50万元(約1000万円)台と高価だ。つまり、800V対応の電池と急速充電技術を搭載したEVの価格は依然として高い。一方、PHEVは通常10~20万元(約200万~400万円)で、10万元(約200万円)以下の車種もある。
PHEVの人気は競争激化を招いており、大容量バッテリーが差別化のポイントになっている。例えば、吉利汽車(Geely)傘下ブランド領克(Lynk&Co)の「領克08」は容量39.8kWhのバッテリーを採用しており、EV走行時の航続距離を245キロにまで延ばし、ガソリン走行も合わせると航続距離は1400キロに達する。
このほかに何をセールスポイントにできるだろうか。レンジエクステンダーEV大手のある幹部は「これ以上、差別化できるところはあまり残されていないように思うが、今後は航続距離と燃費(電費)だろう」と話す。2年後に小米汽車や極氪汽車などのレンジエクステンダーEVが市場でどう戦っていくか、それぞれのチームにとって大きな課題となっている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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