バイドゥが独自開発のAIチップを搭載したクラウドサーバーを発表、AIの産業化に突入

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中国IT大手の百度(バイドゥ)は先月末、北京で「第4回百度雲スマートサミット(ABC Summit 2019)」を開催した。同社副総裁でスマートクラウド事業グループの総経理を務める尹世明氏はサミットで、2019年は人工知能(AI)の産業化元年であり、AIが大規模に活用されるようになるとの見方を示した。

尹氏はAIの発展段階を3つに分けた上で、第1段階(2016~19年)ではAIの基盤、つまり計算力、アルゴリズム、データ面の要求を満たす技術が確立される。第2段階(2019~25年)ではAIの活用が大規模に産業化される。第3段階(2025年以降)では全面的にAI時代に突入すると説明した。

写真:バイドゥ提供

AIの大規模な産業化を実現するには、あらゆる利用場面を網羅するAIインフラを構築し、柔軟なデプロイを可能とすることで、コストを抑え安全性を高めるとともに、開発のハードルを下げる必要がある。

このため、バイドゥ傘下でクラウド事業を手掛ける「百度智能雲(Baidu Cloud)」は、▽AIチップ「崑崙(KunLun)」搭載クラウドサーバー▽エッジコンピューティング用プラットフォームの「BEC(Baidu Edge Computing)」▽エッジコンピューティング用AIサーバー▽ベアメタルインスタンス▽アーカイブストレージ▽機械学習プラットフォームの「BML(Baidu Machine Learning)」▽クラウド上でのアプリケーション開発を支援するツールチェーン「百度効率雲」▽4K映像処理ソリューション▽電話応対が可能なAIアシスタント▽デジタルヒューマン用プラットフォーム――など20もの新製品を一気に発表した。

中でも目玉となったのは、バイドゥが独自開発したAIチップ崑崙を搭載したクラウドサーバーだ。同社は昨年7月に崑崙を発表しており、今回発表されたクラウドサーバーは崑崙を採用した初の製品だ。尹氏によると、同サーバーの処理能力はFPGAベースのAIアクセラレーターを30倍近く上回るほか、同じく同社が独自開発したディープラーニングフレームワーク「飛漿(PaddlePaddle)」との互換性があるという。

「AIの産業化」を実現するには、百度智能雲のコンピューティング、ストレージ、データベースなどに関する能力を実際の場面に活用し、効率面とコスト面でのメリットをもたらす必要がある。尹氏によると、現在はコンピュータビジョン、音声対話、データの3つの面で産業化が進んでいるという。

コンピュータビジョンの面では、中国中央テレビ副総経理の趙磊氏がメリットの具体例として、2分間で2000分以上の映像からすべての見所のあるシーンをカット編集することを挙げた。これはプロの映像エディターでも不可能であり、AIにしか出来ないという。同社がバイドゥと協力して立ち上げたAI編集部では、顔認識や行動認識などのAI技術を駆使して映像を分析し、2分以内で番組のダイジェスト版を完成させている。

音声対話の面では、百度智能雲のロボットオペレーティングシステムの「ABC Robot」が代表的だ。「見る、聞く、話す、動く」など複数の機能を備え、すでに中国東方航空、南京銀行など40社以上と提携している。カスタマーサービスや教育、ナビゲーションなどの分野で同システムを利用することが可能となっている。

データ面での産業化はコンピュータビジョンや音声対話に比べると抽象的だ。バイドゥの各業界データ、地図データに基づくAIを利用することで、それぞれの業界で効率が向上していると理解して良いだろう。例えば自然災害が発生し救援要請が殺到した場合でも、AIを利用することで短時間に多数の車両を手配し、複数の目的地に向かわせることが可能であり、救援活動の効率と精度が大幅に向上している。

AIの産業化は始まったばかりだ。産業界でのAI活用を促すため、百度智能雲は米マイクロソフト、自動車部品の「北特科技(Shanghai Beite Technology)」などをメンバーとする「百度産業スマート聯盟」を立ち上げたことも発表した。(翻訳・池田晃子)

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