次なるTikTokを掘り起こせ バイトダンスCEOが新規業務重視にシフト

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

ビジネス注目記事

次なるTikTokを掘り起こせ バイトダンスCEOが新規業務重視にシフト

続きを読む

複数の情報筋によると、今年6月以降、「バイトダンス(字節跳動)」内部の人事調整が継続して進められているもようだ。今年6月に同社傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」の責任者となった朱文佳氏はすでに陳林CEOではなく、バイトダンスの張一鳴CEOに直接業務報告を行っているという。陳氏は今日頭条CEOの肩書のまま、今後はバイトダンス内部の新規事業に全精力を注ぐことになるとみられる。

朱氏は今日頭条に加え、ショートビデオアプリ「西瓜視頻(BuzzVideo)」やコメディ系娯楽アプリ「皮皮蝦(Pipixia)」といった重要業務も相次いで引き継いだ。

今回の調整は、バイトダンスが今後、既存事業の安定成長を狙う一方で、事業戦略における新規業務の重要性を高めたことを意味している。

今日頭条とショート動画共有アプリ「TikTok(抖音)」は、デイリーアクティブユーザー(DAU)が1億人を超える二大アプリに成長した。とはいえ、TilTokの伸び率が堅調に推移する一方で、今日頭条には伸び悩みがみられる。中国の調査会社「QuestMobile」のデータによれば、今日頭条の昨年8月から今年8月までのDAUは1億2000万人前後で停滞しており、今年8月末時点のDAUは1億1500万人だった。

今日頭条の内部関係者の話では、今年夏にテコ入れを図ったものの、目に見える成果はまだ表われていないようだ。経済誌「財経」系列メディア「晩点Late Post」によれば、張一鳴氏は社内で、検索シーンの拡大とコンテンツの質向上を図らない限り、今日頭条のDAUの伸びしろは4000万人程度にとどまる可能性を示唆したという。現在の今日頭条にとっては、検索サービスがDAUと売上高の両方で壁を破るための鍵であり、今後の重要な戦略であるといえるだろう。

今日頭条が成長を阻む壁に悩む一方で、バイトダンスの商品ラインナップにダークホースになりそうな商品は現れていない。バイトダンスの成長神話は今日頭条やTikTokで止まっており、SNS、教育、ECなどの分野での試みはいずれも平凡との評価しか得られていない。

現在、バイトダンスの新規事業としてはSNS「多閃(Duoshan)」「飛聊(Feiliao)」、自動車関連コンテンツのコミュニティ「懂車帝(Dongchedi)」、企業向けプラットフォーム「Lark」、教育プラットフォーム「gogokid」や「aiKID」がある。

SNSに関しては、「多閃」は失敗に終わったというのがすでに定評となっている。1月下旬~2月上旬にはApp Storeの無料アプリのダウンロード数ランキングで1位となったものの、2月中旬以降は順位を落とし続け、7月中旬には総合ランキングで163位となった。また「飛聊」の今後も雲行きが怪しい。モバイル関連データの分析を手掛ける「七麦数据」によれば、App Storeでのダウンロード数はサービス開始翌日の20万件をピークに急降下しており、現在では1日のダウンロード数は1000回にも満たない。

教育分野に関しては、音声プラットフォーム「喜馬拉雅(Ximalaya)」をベンチマークとした有料コンテンツサービス「好好学習」、オンライン英語教育サービス「VIPKID」に対抗した「gogokid」に加え、地方都市の市場をターゲットとしたAIライブ教育プラットフォーム「aiKID」、K12(幼稚園年長から高校卒業までの12年間)の生徒を対象としたオンライングループ学習塾「大力課堂」をローンチしてきた。

教育関連製品で最大の課題は集客の難しさだが、バイトダンスが誇る膨大なトラフィックが強みとなる。さらに客単価やリピート率が高い分野でもあるため、業務の方向性としては良い選択だといえる。

とはいえ、gogokidについては過去1年間にかなりの資金が投入されたものの、目立った成果は出ていない。バイトダンスの各業務が収益性を高める中、結果としてgogokid部門では大規模な人員削減が実施されている。

ECに関しては、バイトダンスは過去に地方都市市場をメインターゲットとした「値点(ZHIDIAN)」を開発している。だが、現時点で同社のEC業務はTikTokがけん引している上、「トラフィックにより広告収入を得る」方針に転換しつつある。複数の業界関係者の話では、TikTokとアリババは総額70億元(約1050億円)の年間契約を結んでおり、うち10億元(約150億円)は手数料、60億元(約900億円)は広告料だという。アリババにとってTikTokは重要な集客プラットフォームとなっているのだ。

バイトダンスはこれまで、次なる成長の起爆剤を求め、新規事業を絶え間なく立ち上げてきた。企業価値の面からも成長と収益増加のプレッシャーがかかる中、TikTokや今日頭条から他の事業へと早急にバトンを引き継いでいく必要がある。
(翻訳・神部明果)

関連キーワード

メールアドレスを登録して中国最新情報入手