単なる掃除機を超えている 防犯もお喋りもできる中国高性能清掃ロボ

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サービスロボットの巨大市場が中国でも動き出している。「中商産業研究院(ASKCI Consulting)」の調べでは、中国における今年のサービスロボット市場は約22億ドル(約2400億円)規模に達する。将来的な利用シーンの拡大とともに、市場はさらに成長していくだろう。

サービスロボットの市場をけん引するのが家庭用ロボットだ。2016年に設立された「trifo」はロボット掃除機に特化し、家事のスマート化に切り込んでいる。検知、意思決定などの技術を盛り込んだソフトウェアおよびハードウェアシステムを開発し、周辺環境を認識しながら人間とのコミュニケーションをとり、絶えず学習を続ける製品を実現した。こうした製品で消費者の家事管理を効率化し、かつ楽しいものに変えていくという。同社は先日、ベルリンで開催された欧州最大の家電見本市「IFA」で最新の掃除機ロボット「Max」を発表した。

「ナマケモノ経済」のけん引役

生活の利便性を著しく向上する商品やサービスが次々と生まれる昨今、これらが動かす経済を中国では「ナマケモノ経済」と呼んでいる。機械が人間に代替する形態を端的に示しているのがロボット掃除機だ。IT大手アリババグループのレポートによると、中国では昨年、ロボット掃除機の販売台数が前年より50%も伸びた。

2016年にtrifoが初の商品を発売した際には、第一段階として家事にロボットを取り入れてもらうことを目標とした。当時の家庭用ロボットはブルーオーシャンで、創業者の張哲氏は「ロボット掃除機の機能はまだ単調でスマート化が進んでいるとはいいがたいが、その反面、市場規模は巨大で前途は明るい」と述べている。

ロボット掃除機の中核を成す技術は、SLAM(自己位置推定と環境地図作成の同時推進)、物体検出、経路計画の三つだ。機能を進化させた新商品が続々と登場する中で、より多様なシーンで有効に活用されるためには、この三つの技術が欠かせない。

家庭用ロボットの認知を市場に広めるためにも、ロボット掃除機は適役といえる。まずは消費者に使ってもらい、その利便性を知ってもらうことで多くの家庭に導入されていくことになる。ある程度定着すれば、人とロボットの間でより密接かつ効率の良い家事の分担が進んでいくだろう。将来的には多機能を有する家庭用ロボットが普及していく上での布石にもなる。

単なる掃除機を超えたマルチ機能

家事支援ロボットが機能するためには、家庭内の環境をデジタル化、構造化して動線や作業パターンを決めていかなければならない。trifoの掃除機は3次元幾何学の深層学習技術を用いて、ペットと人間、家具といった周辺環境を深く理解・識別しながら経路計画を立てる。さらに、音声認識、ジェスチャー認識、姿勢認識などの技術を統合してマンマシンインターフェースを強化した。こうして、単なる清掃だけでなく、見守りや侵入者監視などのセキュリティ機能やアミューズメント性をも有した製品を実現している。

新商品「Max」は、グローバルシャッターを搭載したカラーカメラなど視覚技術を主とした多くのセンサーを搭載し、これらをVisualSLAM技術とかけ合わせて迅速な位置推定や高精度地図の作成を可能にし、隅々まで漏れなく、無駄なく清掃を行う。充電も自動で行うなど、さらなるスマート化を図った。またスマートスピーカーと連携して音声操作を可能にしたほか、AIと視覚技術を組み合わせた動態シーン管理や人物検出機能などによって、防犯カメラとしての機能も果たす。

「Max」の機能一覧

国内外で同時展開

trifoは現在、世界20カ国に販路を持ち、アマゾン(米国、欧州各国)に旗艦店を出店するほか、中国国内では大手EC「天猫(Tmall)」や「京東商城(JD.com)」で10月より販売を開始する。Maxの価格は449ドル(約4万8000円)だ。

創業者の張哲氏は中国の名門清華大学でオートメーションを、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校でロボット学を専攻し、米マイクロソフトで家庭用ロボット関連のアルゴリズム開発に携わったほか、MRデバイスを開発する米Magic Leapでチーフエンジニアを務めた人物だ。シリコンバレー、深圳、北京に拠点を構え、従業員は約50人。マイクロソフト、インテル、Magic Leap、コードレスクリーナーを製造するシャークニンジャなどの出身者でメンバーを固めている。
(翻訳・愛玉)

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