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東南アジアの自動車生産の中心とされるタイで、中国の新エネルギー車(NEV)メーカーや関連企業が市場開拓を加速している。
重慶長安汽車はこのほど、タイの産業誘致政策を担うタイ投資委員会(BOI)と新エネ車工場の建設契約を締結した。投資額は88億バーツ(1バーツ=約4円)で、第1期の生産能力は10万台を計画している。工場は東部ラヨーン県の「イースタン・シーボード工業団地」内に建設する。朱華栄董事長は同社の「海納百川」計画において、タイが重要な長期的発展の戦略拠点であると紹介した。
新エネ車ブランド「哪吒汽車(Neta)」を展開する合衆新能源汽車は今年3月、タイでエコスマートファクトリーを着工した。右ハンドル電気自動車(EV)を生産して東南アジア諸国連合(ASEAN)に向け輸出する主な生産拠点とする。同社初の海外工場となり、「タイにフォーカスし、東南アジアに波及する」位置付けで、稼働後の年間生産能力は2万台を見込む。2024年1月末に稼働予定。同社によると、タイ市場に進出した22年8月以降の納車台数は累計1万台を超え、小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「哪吒V」は今年1~8月のナンバープレート発給枚数が同国バッテリー式EV(BEV)の第2位となり、市場シェアは20%に迫る。
比亜迪(BYD)は22年9月、初の海外工場をタイに設けると発表した。24年に稼働予定で、年間生産能力は約15万台を見込む。生産した自動車は、主にタイ市場で販売し、周辺のASEAN諸国にも広げる計画という。
車載電池大手の蜂巣能源科技(SVOLT)も今年7月、タイで車載用電池パック工場を着工したと発表。年間生産能力は6万個で、年内に完工する見通し。
業界関係者は「タイは東南アジアの自動車生産中心であり、同国の電動化は始まったばかり。中国の新エネ車メーカーに海外進出と国際市場でのシェア獲得の機会を提供していることから、タイは中国のメーカーや関連企業を引き付けている」と分析する。
タイのカシコン銀行傘下の研究所、カシコンリサーチセンターは、同国の今年のEV市場が5万台に達して22年(1万3454台)の3.7倍となり、EV普及率でASEAN諸国のトップに立つと予測した。(新華社北京)
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