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スマートフォン・IoT機器大手のシャオミ(小米集団、Xiaomi)が傘下の家電ブランド「米家(MIJIA)」から3Dプリンターを発売した。価格は1999元(約4万円)、エントリーモデルの位置づけで、シャオミにとって初の3Dプリンターとなる。組み立ての必要がない完成品で、箱から出せばすぐに使用できる。
プリンターを製造するのはシャオミ・エコシステム内の企業「勝馬優創(Lotmaxx)」だ。2021年9月に設立され、このほど3回目の資金調達を公表、シャオミはその全てに参加している。
これまで、一般消費者向け3Dプリンターには普及を妨げる多くの技術的課題があった。例えば、学習コストが高くて手を出しづらいことや、3Dモデリングやスライス、調整などの手順が煩雑といったことだ。
一般消費者向け3Dプリンターの造形方式としては主に、熱溶解積層方式(FDM)か液晶パネルを用いたLCD型光造形方式が採用される。FDM方式では熱可塑性のある材料を使用する。ABSやPLA(ポリ乳酸)など糸状の樹脂(フィラメント)を溶解温度にまで加熱して、ノズルから噴射して層状に積み上げる方法だが、精度が低くスピードが遅い。LCD型光造形方式では液状の光硬化樹脂(レジン)を使い、液晶パネルの紫外線により樹脂を硬化させる。かつて使われていた材料には有毒なものやアレルギーを引き起こすものがあり、ユーザーから敬遠される原因となっていた。
勝馬優創はFDM方式と光造形方式、両方のプロダクトラインを展開する。今回シャオミと共同で開発したのは光造形方式を採用したもので、2つの独自技術により材料の安全性とプリントの精度を高め、3Dプリンター使用のハードルを下げた。
これまで3Dプリンターを使用するには、3D CADなどソフトウェアを使って設計する必要があり、それをプリンターが認識できるファイルに変換したうえで、専門的なスライスソフトウェア上でプリントする方向やサポート材などを設定して、ようやく実際に使用可能なファイルに仕上げることができた。
勝馬優創が独自開発した自動スライスアルゴリズムでは、内蔵システムがモデルに合わせて自動的にスライスするため、ワンクリックで3Dプリントができる。アプリ内のモデルを自由に組み合わせることができ、簡略化したモデリング機能もあって誰でも簡単に使える。
材料はカートリッジ式になっている。専用アプリを使うとプリント中に自動的に材料を注入し、プリント終了後に使用されなかった材料を自動的に回収する。これまでのように手動で材料を注入する必要がなく、頻繁にプリント材料に触れることもない。
勝馬優創の創業者・廖継盛氏によると、同社が製造する光造形用の材料は安全性が高く臭いが抑えられ、水洗い可能で機械特性も優れているという。一般的に、光造形プリンターではプリント後にアルコールで洗浄しなくてはならず、専用の洗浄装置が必要になることもある。勝馬優創のプリント材料は水洗いするだけでよく、アルコール洗浄の手順を省略できる。
また、プリンターには二次硬化機能もある。これまではプリント後のモデルをプリンターとは別の二次硬化機に入れて紫外線を照射し二次硬化させ、強度や硬度を高める必要があったが、こうした機能も一体化し、利用のハードルを下げた。
勝馬優創は、メインボード、プリンター、アプリ、材料など多くを全て独自に開発している。プリント精度とスピード、機械の構造やソフトウェアについては幾度もアップデートを重ね、AIアルゴリズムのほか、ハードウェア、材料、構造などを含む数十件の特許を取得している。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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