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中国では、iPhone最新モデルが9月13日に予約開始となり、20日に発売された。
「天風国際証券(TF International Securities)」アナリストの郭明錤氏によると、米アップルのスマートフォン「iPhone11」の最初の週末の予約状況は予想を上回り、iPhone11シリーズの2019年の出荷量を7000~7500万台にまで押し上げる見通し。iPhoneのハイエンドモデルは米国市場では依然人気が高く、中国市場ではファーウェイの攻勢を受けてはいるものの、iPhoneのシェア回復も期待できる状況だ。
この秋発表されたiPhone新モデルはカメラ性能とカラーバリエーションのほかには目立ったグレードアップはない。しかし販売価格が下がり、より購入しやすい価格帯になった。ハイエンドモデルの定価は変わらないが、スタンダードモデルは定価を50ドル(約5400円)下げ、中国市場における販売開始価格は1000元(約1万5000円)下がった。
郭氏のレポートによれば、新たに登場した色種の人気が高いという。しかし、iPhone 11 ProのミッドナイトグリーンとiPhone 11のグリーン及びパープルは出荷予定が2~3週間遅れ、他のカラーはそれより10日ほど早い出荷になるという。また、ミッドナイトグリーンのガラス製バックパネルの生産には問題があり、出荷時期が更に遅くなりそうだ。
次世代通信規格「5G」未対応のiPhone11は、リーズナブルな販売価格が売れ行きのカギを握る。
「華宝証券(HwaBao Securities)」は、今回の新機種はイノベーションこそ少ないものの、手に取りやすい現実的な価格戦略とアップルブランドの求心力も重なり、市場では現状を維持し大きく落ち込むことは無いだろうとの考えを示した。
この低価格戦略は中国のような新興市場でより大きな反響を呼んでいる。
中国と米国はiPhoneにとって最も大きな市場である。郭氏がこの2つの市場を比較してみたところ、米国市場ではiPhone 11 Proシリーズが人気で、中国ではiPhone 11の人気が高いという。米国ユーザーはiPhoneに対する忠誠心が最も高く、さらに機種変更プランがiPhone 11 Proの需要を支えているという。一方の中国では、iPhone 11の販売価格が中国平均月収の1~1.3カ月分。旧機種iPhone XRの1.5~1.7カ月分と比べて安くなったことがポイントを上げた要因だといえよう。
しかし5G 未対応というのが、依然としてその売れ行きに影響しているようだ。
北京の投資銀行「中国国際金融(CICC)」によれば、新型iPhoneは一部のユーザーの機種変更を促すことになるかもしれないが、ハイエンドモデルは価格も据え置きのため、来年の5G対応機種の登場まで待つユーザーが多いのではないかという。
5G対応iPhoneの発表は来年秋頃になるという見方が強く、5G対応スマホの買い替えブームは来年の上半期になるだろう。現在はアンドロイド端末が先行し、既に5G対応スマホをリリース済。今年の第3、第4四半期まで5G新機種の登場が続く。米調査会社「Gartner」モバイル・アナリストの呂俊寬氏によれば、「華米OV(ファーウェイ・シャオミ・OPPO・vivo)」の中国ブランドはアップルの技術の空白というチャンスを狙って、今後一年間は中国における5Gハイエンド端末市場のシェアをがっちりと握るとみられる。中国は5Gが先行する市場で、中国の消費者はモバイル端末のスペックを重視するからだ。
アップルはアンドロイド端末に対抗すべく、低価格戦略のほかに次の手も打っている。今年、ゲームアプリ「Apple Arcade」と動画ストリーミングサービス「Apple TV+」を発表、これらのサービスを通じてiOSエコシステムのユーザーの定着度を上げる狙いだ。今年5G対応が遅れた分、ゲーム、動画コンテンツ、決済、ニュースなどのサービスを強化してユーザーをつなぎ止める戦略である。中国国際金融は、5G対応機種のリリースを前に、これがアップルのアンドロイド端末から陣営を守る最善の防衛策であるとの見方を示した。
(翻訳:貴美華)
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