資源ゴミの高速自動選別装置、中国新興が開発 260種類以上の材質に対応

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再生資源の自動選別装置を手がける中国スタートアップ企業「弓葉科技(Databeyond Technology)」がこのほど、シリーズBで紅杉中国(HongShan、旧セコイア・チャイナ)から数億元(数十億~百数十億円)を調達した。資金は海外チャネルの構築と製品の量産化に充てられる。同社はこれまでに複数回にわたって複数のベンチャー・キャピタル(VC)から資金を調達しており、調達額は累計で数億元に上っていた。

再生資源リサイクルの重要なプロセスとなる選別には、廃棄物からリサイクル可能な資源を選り分け、不純物を除去することが含まれる。2018年に設立された弓葉科技は、人工知能(AI)と光電融合技術に基づくインテリジェントな選別装置を開発、さまざまな種類の廃棄物から再利用できる資源を細かく選別し、価値を生み出している。

世界ではここ数年、再生資源リサイクル産業が急速に発展し、政策や法規の整備も進んでおり、市場が拡大する余地は大きい。使用済みペットボトルをリサイクルし、食品用ペットボトルに再生利用する「ボトルtoボトル」の取り組みについて例を挙げると、欧州連合(EU)が2022年に食品接触再生プラスチック材料・成形品規則を発表し、29年までにペットボトルの回収率を90%とする目標を定めている。

リサイクル業界が依然として自動化水準の低さ、現場管理の基準づくりの後れ、作業員の高齢化などの課題に直面する一方で、選別に対する要求は高まり続けている。例えばペットボトルの場合、最も基本的な色分けだけでなく、メーカー、用途、材質、汚れ具合などに応じて分類する必要が出てきたが、手作業ではこうした細かい選別は難しい。

再生資源リサイクル産業では現在、選別の性能を安定的に発揮できるインテリジェントな選別装置が求められており、装置を使う川下の顧客は投資回収サイクルなどに注目している。

こうしたニーズを受け、弓葉科技は廃棄物データベースの構築や深層学習アルゴリズムの開発などを含むAI技術や光電融合などの技術を装置に取り入れ、選別効率を上げた。また、科学研究や航空宇宙などの分野で使われるハイパースペクトルカメラを独自開発し、廃棄物の選別に導入した。

弓葉科技の再生資源の自動選別装置

同社は技術革新と量産化によってコストを下げ、顧客となるさまざまな廃棄物リサイクル企業のニーズに応じてエコノミーモデルとハイエンドモデルを提供している。その第6世代となる選別装置は、ペットボトルの処理能力が1時間当たり10トンを超え、精度も99.6%と高い。高速ベルトコンベアの速度は1秒当たり4.2メートルに上るという。また、AIとハイパースペクトル技術を組み合わせたことで、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、複合材料など260種類以上の材質を正確に選別して不適当なものを除去し、最終的な製品の品質を確保できるという。

今後は、中国国内をベースに海外市場の開拓に注力する計画だ。今年は湖北省、浙江省、江蘇省、陝西省などで再生ポリエチレンテレフタレート(PET)スマートファクトリー・プロジェクトを手がけると同時に、ブラジル、インド、ドバイ、マレーシア、欧州、米国に向けてインテリジェントな選別装置を販売している。同社は創業以来、世界で年間200万トンの廃棄物減量と年間数百万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献してきたという。

*2023年11月28日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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