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二酸化炭素(CO2)削減のための炭素固定技術を開発する中国企業「原初科技(Yuanchu Technology)」がこのほど、至臨資本(GeniLink Capital)の主導するプレシリーズAで資金を調達した。
2014年に設立された原初科技は、CO2を石化して永久に貯留する技術の開発に注力している。この技術は、カルシウムやマグネシウムを含む産業固形廃棄物(カーバイドスラグ、鉄鋼スラグ、廃コンクリートなど)や天然鉱石を原料として、特許取得済みの専用装置と独自の媒体を使い、さまざまなシーン、条件、濃度のCO2を効率的に石化することで、経済価値のある低炭素の炭酸カルシウム製品を作り出す。
つまり、原初科技はエネルギー・産業分野で排出される膨大なCO2を固定して排出量を減らすと同時に、産業固形廃棄物の削減や資源のリサイクルを実現し、廃棄物を価値ある物質に変えることができる。
同社の説明によると、この技術は反応時間が2分以内と短く、CO2の変換率が90%以上に達するほか、CO2を濃縮する必要もないという。最終的に、CO2を再び放出することのない安定した構造の炭酸カルシウム粒子とするため、CO2を長期にわたって固定できるというメリットがある。また、石化の過程で酸やアルカリを使用せず、廃液を出さないなど、プロセス全体も環境に優しい。
従来のCO2石化技術は経済性が低く、大規模な工業化が難しいなどの問題があったが、原初科技の技術路線ならこれを解決することができる。経済性については、同社が原料とするカルシウムやマグネシウムを含む産業固形廃棄物や天然鉱石は豊富に存在しており、容易に入手できるうえ価格も低い。しかも生産された炭酸カルシウム粒子は付加価値が高く、建築やプラスチック、紙、塗料などの産業で幅広い活用が見込める。
同社は独自の知的財産権体制を構築しており、すでに中国の発明特許20件以上、米国の発明特許2件を取得したほか、20件近くが現在審査中だという。特許にはプロセス全体や中核装置が含まれる。単一プロジェクトでCO2の排出量を100万トン規模で削減でき、火力発電や石油化学、石炭化学工業、鉄鋼、セメントなどCO2排出量の多い産業に適している。
特筆すべきは2022年、イーロン・マスク氏がスポンサーとなったCO2除去技術の競技会「XPRIZE Carbon Removal」で、参加した1133団体の上位60位に選ばれたことだ。23年にはテンセントが実施する「CarbonXプログラム(碳尋計画)」で上位30位に選出されている。
目下、原初科技の提携パートナーは大型の国有企業や業界大手が中心だ。例えば、国有エネルギー大手の国家能源集団(CHN ENERGY)と共同で、火力発電所の排ガスから発生する年間1000トンのCO2を石化回収する技術の研究とモデルプロジェクトを展開しており、すでに山西省大同市にある発電所で運用が始まっている。
(翻訳・畠中裕子)
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