世界のつけまつげの70%を生産する平度市、5000社が操業。デジタルネイティブ「工場2世」早くも頭角

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中国・山東省にある人口130万人の平度市は、世界のつけまつげの70%を生産している。

韓国の化粧品企業が30〜40年前に山東省青島市に工場を建設したことで、地元の人はつけまつげのビジネスチャンスを感じ取った。現地では化学繊維工業や化学工業が発達していたこともあって、つけまつげやかつら産業が拡大した。平度市政府の公式サイトで今年1月に発表された記事によると、現在平度市にはまつげ関連企業が5000社以上あり、3000種類以上のつけまつげ製品が生産されている。

これらの工場は主に自分で装着するタイプのつけまつげとエクステンション用まつげを生産する。自分で装着するタイプは扱いが簡単で、消費者が自分で装着する。エクステンション用まつげは専門のサロンなどで施術してもらう必要がある。平度市にはこのほか、つけまつげのデザイン、オーダーメイド、加工、包装、販売、物流、貿易など関連産業が整っている。中国中央テレビ(CCTV)は2022年11月の特別番組で、同市のつけまつげが年産100億元(約2000億円)に達していると紹介した。

平度市が生産するつけまつげは中国市場でシェア80%を占める。しかし、中国のつけまつげサプライチェーンが規模を増すにつれ、市場は価格競争に陥り、利益が大きく圧迫されるようになった。こうした中、平度市の多くの企業は海外市場にチャンスを求めるようになった。BtoBの越境EC・アリババドットコムが発表した2022年度の売れ筋商品トップ10にもつけまつげが入っており、世界のつけまつげ市場は今年17億5000万ドル(約2500億円)に達すると見込まれている。北米、欧州、アジア・太平洋地域が最も重要な市場となっているほか、バイヤーは主に米国、英国、カナダに集中し、米国が64%を占める。

海外進出によって中国のつけまつげも次第に高級化が進んでいる。さらに海外の消費者の好みに合わせた調整や新製品開発が必要になってきた。つけまつげの製造業者は「海外の消費者、特に欧米や中南米の消費者は濃くボリュームのあるつけまつげを好むが、中国の商品は一般的に軽めでナチュラルだ」と話す。

つけまつげ産業の利益率は高く、品質が高ければ利益も大きい。製品の付加価値を高め価格決定権を握るため、一部のつけまつげ工場は販売も手がけるようになり、ECプラットフォームや自社サイトなどを通じて直接海外に商品を届けている。

前述の事業者は、注文の7割以上が欧米からで、アマゾンやアリババドットコム、Sheinなど複数の越境ECプラットフォームへの出店を試みた。TemuやTikTok Shopなどが欧米に参入した後は、商品価格もますます下がったという。

こうした中、地元に戻った工場経営者の子供である「工場2世」が中心になって産業のデジタル化を推進している。大都市で学んだ彼らは、ネットを活用するという考え方や国際的な視野を持ち、家族経営の工場を新しい方向に導いている。そして、独自ブランドと新ブランドサイトを立ち上げることで価格決定権を握って利益を確保するとともに、長期的に取引する顧客を増やしたいと考えている。

前述の事業者も親が工場を立ち上げた「工場2世」だ。2015年には自社サイトを立ち上げ、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSを通して多くの顧客を獲得してきた。今や工場が運営する数十のInstagramアカウントには十数万人以上のフォロワーがいて、毎月新たな注文が入り、新規顧客も増加している。工場で生産しているつけまつげのうち、自社サイトからの注文が全体の80%に達しているという。

作者:霞光社(WeChat公式ID:Globalinsights)、麻吉

2023年12月10日のレート(1元=約20円、1ドル=約145円)で計算しています。

(翻訳・編集:36Kr Japan編集部)

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