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中国のVPU(ビジュアル・プロセッシング・ユニット)メーカー「肇観電子(NextVPU)」(全称:上海肇観電子科技)がこのほど、シリーズDで投資ファンドの華山資本(WestSummit Capital)などから2億元(約40億円)を調達した。資金は次世代のチップおよびモジュールの開発とアップデートに充てられるという。
肇観電子は2016年に設立され、コンピュータービジョンや人工知能(AI)向けのチップとモジュールを開発し、工業やロボット、自動車、消費財、セキュリティなどの分野のスマートデバイスの「見る能力」を強化することに注力してきた。
スマートデバイスの普及や発展に伴ってカメラの解像度が上がり、処理するデータの量が爆発的に増加した。写真や動画といった画像の処理に必要なアルゴリズムもますます複雑になり、より高い演算力が求められるようになった。肇観電子は、従来の画像処理に使われてきたCPU(コンピュータ・プロセッシング・ユニット)とGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)では難しい大量のデータ処理に対応するため、画像処理機能を強化した半導体チップのVPUを自社開発した。
VPUは、低光量や高光量、逆光など特殊な条件下でのイメージングに対応し、縦横だけでなく奥行き(深度)も検知する3Dセンシング能力をデバイスに与える。収集したデータから深度を直接計算できるため、離れた空間の深度マップを作成すると同時に、デバイス自体の位置を推定することが可能。また、自己位置を測定し環境地図を作成する「SLAM」技術により3Dモデルを再構成し、3D空間の中に存在する異なる物体を識別できる。肇観電子のVPUは、これらの機能を1つのチップの中に高度に集積したもので、高性能、低消費電力、低コストな上、システムの複雑さが低減されているという特長がある。
ロボット業界向けには、自社開発したVPUを組み込んだ深度カメラ「Feynman」シリーズを顧客のニーズに合う形で提供しており、年間10万セットの出荷を見込んでいる。Feynmanシリーズの深度カメラは、氷点下40度の低温環境から70度の高温環境まで対応できる。また、カメラ内部でAIアルゴリズムがデータを処理するため、産業用コンピュータの関与が必要なくなり、システムの複雑さが大幅に軽減する。10万時間の連続使用に耐えた実績もあり、信頼性の点でも申し分ない。
車載機器の分野では、同社のVPUをカメラモニタリングシステム(CMS)に搭載した場合、コールドスタート時でも1秒足らずでスマート・サイドミラーに画像が出力される。ミラーに画像が表示されるまでの遅延時間は、業界最短レベルの40ミリ秒以内に短縮されるという。同社のVPUは、完成車メーカーに部品を直接部品を提供するメーカー20社余りが導入しているほか、一部の完成車メーカーが先進運転支援システム(ADAS)に採用している。
肇観電子の中心メンバーは、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)や米マーベル・テクノロジー、米インテル、米クアルコムといった半導体大手出身だ。最高経営責任者(CEO)の馮歆鵬氏は、中国科学技術大学の電子工学部を卒業し、英サウサンプトン大学でマイクロエレクトロニクスを専攻して修士号を取得。中芯国際集成電路製造(SMIC)やAMDで50種類以上のCPUやGPUの設計を主導した。
*2023年12月18日のレート(1元=約20円)で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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