観光立国シンガポールに学ぶ、「AR×観光」戦略で地元経済をより活性化へ

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シンガポール政府は、新型コロナウイルスの流行で減った外国観光客を再び呼び込むため、AR(拡張現実)技術を駆使した観光戦略「AR×観光」を打ち出し、インタラクティブで没入感のある体験を提供している。観光地や名所旧跡にスマホをかざすだけで、その場所の詳細情報や歴史的な背景、地元の伝説などが画面に表示され、シンガポールに対する理解を楽しく深められる仕掛けだ。

都心を流れるシンガポール川の沿岸では9月7日〜10月1日、毎年恒例の人気イベント「シンガポール・リバー・フェスティバル(Singapore River Festival)」が開かれた。今回は定番のグルメ巡りや音楽フェスに初めてARソリューションを加え、来場者に先進的なテクノロジー体験を提供して注目を集めた。

今回導入されたARソリューションは、テック大手のByteDance(バイトダンス)傘下で世界中の企業・団体向けにインテリジェント・ソリューションを提供する「BytePlus(バイトプラス)」とシンガポールのビジュアルエフェクトスタジオ「CraveFX」が共同で開発した。特別なデバイスは必要なく、スマートフォンだけで手軽に楽しめるのが特徴だ。特に若い世代や家族連れをターゲットに、来場者数の20%増加させることを目指したという。

具体的な使い方は、シンガポール川沿いに点在する指定スポットでTikTokのアプリを開き、QRコードをスキャンするだけ。川のそばでスマホをかざせば、画面上の川に昔の写真が重なったり、上空に大きなイラストが描かれたりする。特に人気を博したのは、シンガポール川に生息するカワウソのキャラクター「SABA」が、AR画面上で動き回りながら案内をしてくれる姿だった。SABAの可愛らしい案内で、観光客だけでなく地元の人々も、これまで気づかなかったシンガポール川の楽しみ方をゲーム感覚で知ることができた。ARソリューションを体験をした観光客は、新鮮な驚きをそのまますぐTikTokに投稿した。その結果、インターネット上でイベントの魅力が拡散され、新たな来場者を引き寄せる効果を発揮した。

TikTok公式アカウントと連動している

ARソリューションは、地元の店舗の集客にも貢献した。シンプルなミニゲームをクリアすると導入店のクーポンがもらえる仕組みで、オンラインで観光客を引き込み、実際に店に足を運んでもらう取り組みだ。店のTikTok公式アカウントにも誘導されるため、長期的な集客にもつながる。

インタラクティブなAR体験を通じて観光客はテクノロジーを楽しみ、ソーシャルメディアで情報をシェアする。これが地元経済を活性化させる役割を果たす。特に若い世代やテクノロジーに敏感な層にとっては、新しい形の観光体験が魅力的に映るだろう。シンガポールの新たな試みは、観光立国を目指す日本でも大いに参考になるはずだ。AR技術の活用は観光業の差別化戦略として極めて有効で、今後の競争力向上に寄与するのは間違いない。

(36Kr Japan編集部)

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