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近年急成長を遂げるペット市場は、注目の投資分野ともなっている。米ペット用品ECサイト「Chewy(チューイ)」は先頃、ニューヨーク証券取引所への上場を果たし、上場当日の株価上昇率は60%に達した。また同社の時価総額は現時点で100億ドル(約1兆700億円)を超えており、ペット愛好家向けサービスを手掛けるEC事業者にとっての明確なベンチマークが築かれた形だ。
中国国内では、猫用グッズのサブスクリプション・コマース(定期購入型EC)サービスを手掛ける「魔力猫盒(MollyBox)」がシリーズBで1300万ドル(約13億9000万円)、またWeChat(微信)を利用したペット関連ソーシャルEC企業「寵加(PetPlus)」がシリーズAで500万ドル(約5億4000万円)を調達しており、GMV(流通総額)もかなりの規模となっている。ペットを飼う若い世代はすでにオンラインショッピングの習慣を確立しているため、新規参入者が既存の総合ECプラットフォームや「波奇網(boqii.com)」のようなペット専門ECとの差別化を図るには、低コストな集客手段と高効率の運営スキームが欠かせない。
「萌寵小白盒(Mengchongxiaobaihe)」はサブスクリプション型ペット用品EC事業者で、現段階では主に犬の飼い主を対象に、ペットフード、おやつ、栄養補助食品、ケア用品など1カ月に必要なアイテムの入ったボックスを会員向けに毎月配送している。今年2月のサービス開始以降、半年あまりでユーザー数は2万人に届く勢いで伸びており、リピート率は70%超、客単価は600元(約9000円)超となっている。
同社はこのほど、エンジェルラウンドで1000万元(約1億5000万円)を調達した。リード・インベスターは「吉家寵物集団(JIA PETS)」、コ・インベスターは「K9寵物食品(K9PETS)」。今回の資金調達により、同社は集客力のさらなる強化に加え、サプライチェーンの強化やアップグレードにも取り組む計画だ。
「ペット関連商品はそもそもサブスクリプションサービスに適している」と創業者の呉小李氏は語る。ペットフードに対する飼い主のニーズは高頻度かつ安定しており、消費額全体に占める割合は4割近くに上る。だがペットフードを買うのはなかなか面倒で、買い忘れてフードを切らすか、さもなければ買いだめしすぎて古くなってしまうという悩みがある。さらに、猫のトイレ用の砂はかさばって保管しづらく、おもちゃも定期的に買い換える必要があるため、定期購入サービスはこれらの問題を解決する上で好都合だ。上述のChewyでは、プラットフォームの純売上高の65.7%がサブスクサービスによるものだ。
萌寵小白盒の会員になると、毎月1回おやつ無料、体験ボックスの低価格での購入、商品の割引などのサービスが受けられる。またペット用品の入ったボックスの契約期間は、3カ月、6カ月、12カ月から選択できる。
商品のSKUに関しては、初期段階では主に有名ブランドと提携しているが、ユーザー数の増加後は、ジャーキー、缶詰め、歯みがきガムといった自社ブランドのおやつも商品ラインナップに追加する予定だ。こうしたPB商品は、プラットフォームの利益やサブスクサービスによる売上高の引き上げにもつながる。
同社はすでに福建省アモイ市でサービスの試験運用を開始し、現地で一定の潜在ユーザーを獲得している。呉氏によれば、ペット用品ECの課題は集客であり、業界内の集客コストは総じて高く、通常70元(約1000円)前後に上っている。同社は、短期的には主に独自コンテンツとユーザーの口コミによって売り上げを伸ばしており、今後も独自コンテンツの構築を続ける予定だ。
現在はTikTokですでに自社制作ショートビデオのアカウント「狗狗偵探」をリリースしており、今後はアリババのECモール「Tmall(天猫)」への出店を急ぎ、ショートビデオ経由のトラフィックをより効率的に誘導したい考えだ。
(翻訳・神部明果)
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