盛り上がる中国のペット医療市場に商機、1台で複数検査できる診断装置が開発

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ペットの増加やペットの健康に対する意識の高まりに伴って、世界のペット向け診断および医薬品開発市場は急速に拡大している。華創証券の研究リポートによると、世界のペット向け診断市場の規模は2022年が56億ドル(約8300億円)で、23年は147億ドル(約2兆2000億円)に達したようだ。動物診断をメインに手がける検査大手IDEXXの22年度の売上高は33億7000万ドル(約5000億円)で、うち動物診断事業が91%を占めた。また、業界の白書によると、21年の中国のペット用医薬品市場規模は前年比7%増の131億元(約2600億円)だった。

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中国ではペット医療産業がまだ成長期にあるため、獣医師の不足やペット医療チャネルの分散、従事者の全体的なレベル向上など多くの課題を抱えている。こうした状況では、獣医師の診断を助けるさまざまな検査が特に重要になる。しかし、中国で使われているペット用検査機器のほとんどはヒト用医療機器メーカーが開発したもので、通常は1台の機器で1種類の検査しかできず、検査にかかる時間、コスト、精度などがペインポイントとなっている。

これに対して、22年に設立された新興企業の「華炎優科(Huayan Youke)」は、1台で複数の検査が可能なペット用診断装置を専門に開発した。さまざまな検査を別々の機器で進める場合に2時間以上かかる検査時間は、同社の診断装置1台を導入することで30分未満に短縮できるという。また検査装置の構造の改良と特殊な設計によって、検査のスピードと精度を両立させた。一部のPCR検査はスピードが速いが、精度と感度に限界がある上、検体が汚染されるコンタミネーションも起こりやすいという。これに対して同社は従来の成熟した検査方法を採用しつつ、構造的な改良を通じて検査スピードの向上と精度の確保を図っている。

華炎優科の主要メンバーは、中国の農業及びバイオ科学分野の名門校である華中農業大学の出身者で構成され、動物医療分野で長年の研究経験と豊富なビジネスリソースを有する。それを後ろ盾に、華炎優科は既存の設備と研究開発能力を活用して検査に必要な試薬などの消耗品を自社で調製することで、コストを10分の1まで削減できたそうだ。

診断装置のほか、専門家による難病診断アドバイスなどの診断補助サービスをオンラインプラットフォームで提供している。同社はこれ以前にも、外部のオンラインプラットフォームを通じて診断補助業務を展開したことがあり、すでに複数の動物病院チェーンと提携を結び、診断業務の受注額は数百万元(数千万~1億数千万円)に上っているという。

さらに、大量の検査データと症例を基に人工知能(AI)を活用したペット用新薬の開発も推し進めている。華炎優科は低分子医薬品の合成、体内外の薬剤スクリーニングを含む独立したAI医薬品スクリーニングライブラリーを作り、医薬品に関わる全プロセスを網羅している。複数の化合物から薬剤をスクリーニング・開発するのに比べ、臨床現場の実際の問題に応じてピンポイントに化合物を合成することで、開発時間の大幅な短縮とコストの削減を実現できる。同社はすでに2種類の薬剤で非臨床試験を進めており、独自の知的財産権を持つ新しい動物用医薬品を世に送り出す予定だ。

同社はこのほど、シードラウンドで数百万元(数千万~1億数千万円)の資金調達を完了した。

*2024年1月27日のレート(1ドル=約148円、1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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