中国CATLとBYD、車載電池で価格競争。大幅なコスト削減推進で1Wh当たり6円の時代へ

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中国の自動車業界で続く価格競争が、車載電池分野でも激しさを増している。業界関係者によると、中国車載電池大手の「寧徳時代(CATL)」は王者としての地位を守るために生産ラインのリソースを整理し、コスト削減を進めているようだ。

同社はドイツ自動車工業会(VDA)規格に適合した容量173アンペア時(Ah)のリン酸鉄リチウム電池セルを自動車メーカーに供給して、充電のスピードを示すCレートが2.2の急速充電可能な電池の標準搭載に注力している。業界関係者によると、複数の自動車メーカーが2024年半ばまでに、安価で容量の大きい同社の電池セルに切り替える見通しで、特に10~20万元(210~420万円)クラスの電気自動車(EV)がターゲットだという。

川上の業況と材料のリソースを考慮すると、今のところ寧徳時代と同じ価格で2Cの電池を供給できる企業は無い。

中国EV最大手「比亜迪(BYD)」傘下の「弗迪電池(FineDreams Battery)」も社内に向けて引き続きコスト削減を進めるよう指示したようだ。2023年には調達チームが利益の最大化を実現しており、24年も引き続きコスト削減と効率向上を図るという。

終わりの見えない中国EV値下げ競争 バッテリーのコスト削減は限界か

車載電池大手2社のコスト削減に他社も追随すれば、電池価格はさらに下がる可能性がある。

VDA規格のリン酸鉄リチウムイオン電池セルは価格が1ワット時(Wh)当たり0.5元(約11円)を下回った。EVメーカー「零跑汽車(Leapmotor)」の曹力副会長によると、同社のリン酸鉄リチウムイオン電池セルの調達価格は1Wh当たり0.4元(約8円)となっており、今年中にそれを下回る見込みだ。

VDAが車載電池の標準サイズを定めたことで、さまざまな車種に電池を搭載しやすくなった。中国の車載電池規格は早い時期からVDA規格を参考にしている。現在市場に出回るほとんどの角型電池セルはVDA規格となっており、生産能力も十分にあるため価格競争も激しい。

角型リン酸鉄リチウムイオン電池セルの1Wh当たり平均価格は、2023年1月時点で約0.8~0.9元(約17~19円)、同年8月時点で0.6元(約13円)前後だった。

そして今や車載電池の価格は1Wh当たり0.3元(約6円)の時代に入りつつあり、電池メーカーはこのわずか1年の間に、供給不足から一転して売れ行きが鈍るという苦しい状況に陥った。また、自動車メーカーも多方面にわたり車載電池に対する支配権を拡大している。

一つには自動車メーカーが電池の自社開発に着手していることがある。「極氪(ZEEKR)」はリン酸鉄リチウムイオン電池「金磚電池」を開発し、「広州汽車集団(GAC Motor)」傘下の「因湃電池科技」は大容量微結晶電池「P58」を生産しており、いずれも自動車への搭載が進む見通しだ。「長安汽車(Changan Auto)」は電池ブランド「金鐘罩」を発表し、2030年までに150ギガワット(GW)時以上の生産能力構築を計画している。

また、自社で電池生産ラインを持たない自動車メーカーも、経営戦略を通じて電池価格を引き下げようとしている。

零跑汽車は標準化された電池セルの調達を進めており、さまざまなサプライヤーが供給する標準品の価格を毎月比較し、低い価格を提示したサプライヤーと取引することでコストを抑えている。曹副会長は、車載電池の調達価格を1Wh当たり0.32元(約7円)にまで下げられると考えている。

これについて業界関係者は、リン酸リチウムの価格を1トン当たり8万~9万元(約170万~190万円)で計算した場合、車載電池の製造コストが0.3元(約6円)余りかかり、その上で電池メーカーの利益を確保しようとすると、実現はほぼ不可能だとの見解を示す。

しかし、競争の激化に伴って、車載電池メーカーが市場シェアを奪うために利益を度外視すれば、1Wh当たり0.32元(約6円) も不可能ではなくなる。

重要なこととして、2023年のリチウム価格下落や過剰な生産能力、自動車メーカーの激しい競争によって、車載電池部門の利益はほぼ無くなっている。

公表されている資料によると、電池メーカーのうち、中国国内ランキングで第3位をキープする「中創新航(CALB)」は2023年1~6月の売上高が122億元(約2600億円)に上ったが、粗利益率はわずか9.6%だった。香港証券取引所に上場した「瑞浦蘭鈞(REPT)」は23年1~6月の粗利益率がわずか4.1%で、純損失が22億元(約460億円)を超えた。

これまで業績が好調だった寧徳時代も売上高と純利益の伸びが鈍化している。2023年7~9月の売上高は1054億3100万元(約2兆2000億円)と、前年同期比8.28%増、前四半期比5.21%増にとどまった。純利益は104億2800万元(約2200億円)で、前年同期比10.66%増、前四半期比4.28%減となった。

車載電池の正極材、負極材、隔膜、電解液を手がける材料メーカーも電池価格の下落によって、利益に大きな影響が及んでいる。リン酸鉄リチウム材料大手の「徳方納米(Dynanonic)」は2023年1~9月の純損失が10億元(約210億円)を超えた。

炭酸リチウムの価格もピークの1トン当たり60万元(約1300万円)から10万元(約210万円)前後に戻って推移している。非鉄金属関連サービスを提供する上海有色網(SMM)によると、1月15日時点で中国の電池用炭酸リチウム価格は1トン当たり約9万6200元(約200万円)だった。リチウム価格がさらに下がれば電池メーカーには利益を生む余地が広がるが、それは難しそうだ。

こうした状況において、産業チェーン川上企業のコスト圧縮に頼るだけではもはやメーカーのコスト削減ニーズを満たせなくなっている。寧徳時代は製造部門にコスト削減の余地を生むよう求め、主力製品の量産によって生産コストを下げ、電池の販売価格を0.4元(約8円)以下に下げようとしている。

車載電池分野にはうまみがなくなってしまったが、競争は続いている。自動車業界の激しい競争にはまだ終わりが見えず、誰が勝ち残るかは分からない。

中国EV市場の2023年を振り返る キーワードは価格競争、破産、海外進出

*2024年1月31日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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