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中国江蘇省の南京大学はこのほど、同大の譚海仁教授の研究チームが開発した大面積ペロブスカイトタンデム太陽電池モジュール(20.25平方センチ) が新たなブレークスルーを実現したと明らかにした。同モジュールは日本の国際的権威ある第三者機関、電気安全環境研究所(JET)によるテストで、同種モジュールの変換効率として世界最高となる24.5%を記録、今後の産業化に向け技術基盤を確立した。関連論文は23日、国際学術誌「サイエンス」に掲載された。
譚教授によると、チームはここ数年、一貫してペロブスカイト電池技術の研究に力を入れ、小面積電池で28%、大面積タンデムモジュールで21.7%の変換効率を実現してきた。
論文の共同第一著者、高寒氏は「タンデム型太陽電池モジュールは、バンドギャップの異なる単電池を組み合わせたもので、ナローバンドギャップの単電池はワイドバンドギャップの単電池が吸収できない光を吸収できるため、理論上はタンデム型電池の変換効率はより高くなるはずだが、これまでのところペロブスカイトタンデムモジュールの変換効率は21.7%にとどまっており、明らかに満足できる結果ではない」と語り、実験室で製作される小面積電池は約1平方センチしかないが、実際に商業的価値があるのはモジュールなので、大面積タンデム型モジュールの変換効率の壁を突破する必要があると説明した。
難題となってきたのはナローバンドギャップペロブスカイト薄膜の生産プロセスで、高氏は「ナローバンドギャップペロブスカイト薄膜の結晶形成過程は速すぎて制御が難しく、大面積での合成時に薄膜が均一にならないという問題が発生する。また、ペロブスカイトの結晶形成が全体で同時に進行しないため、薄膜底部に多くの欠陥が生じやすい」と話した。
この問題を解決するため、同チームは前駆体溶液にグリシンアミド塩酸塩を添加、ペロブスカイトの結晶形成速度を低下させた。これにより薄膜の合成時間が従来の約10倍に延びて、底部の欠陥も自己修復できるようになった。
高氏によると、この方法で合成したナローバンドギャップペロブスカイト薄膜とワイドバンドギャップペロブスカイト薄膜を結合して製作したタンデム型モジュールの面積は20.25平方センチに達したという。JETによるテストにおいて、同モジュールは24.5%の変換効率を達成、関連データは国際的な「太陽電池効率表」に収録され、同種のモジュールとしては世界最高記録となっている。
譚教授は今後について、「より大面積、より高効率のペロブスカイトタンデム太陽電池モジュール製造の試みを続け、産業化の目標に向けて着実に前進する」と話している。(新華社南京)
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