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自動運転シミュレーションプラットフォームを展開する中国企業「51Sim」がこのほど、シリーズAで5000万元(約10億円)を調達した。出資には北汽産業投資(BAIC Capital)、益富海股権(Yifuhai Equity)などが参加した。資金は技術開発に充てる方針だという。
51Simは2017年、デジタルツイン技術を手がける「51WORLD」のインキュベートによって設立された。鮑世強CEOは、設計ソフトウエアを開発するAutodeskの中国研究開発センターに長年勤務していた経験がある。
自動車は今や次世代のスマートデバイスとなりつつあり、中でも自動運転機能は自動車メーカーが競い合う大きなポイントとなっている。自動運転技術には高品質なデータの大量生成および学習が必要で、電気自動車(EV)大手の米テスラはこの手法で「FSD(フルセルフ・ドライビング)」の機能を改良している。しかし、実世界のデータを収集してタグ付けする(アノテーション)には時間や労力、コストがかかり、多岐にわたる複雑な運転シーン全てをカバーするのも難しい。
このような問題を解決するために、自動運転シミュレーションと合成データの技術が登場した。シミュレーションでは主に、収集したデータを使用して大量のシーンを生成し、稀に起こるコーナーケースも再現する。
鮑CEOによると、これまで使われてきたシミュレーションソフトウエアの大半は外国製で、車両自体のシミュレーションに重点を置き、基本的な運転支援の機能とシーンをテストするために使われている。しかし、外国製ソフトウエアはバージョンアップが遅く、中国国内の高度な自動運転の検知システムや複雑な市街地シーンを生成するのが難しい。
鮑CEOは、リアルさと再現性が自動運転シミュレーションの重要な指標になると考えた。例えば都市部の道路をシミュレーションする場合、実際の天候や道路などで構成される静的環境と、さまざまな車種が行き交う動的環境をそれぞれ再現する必要がある。もちろん、実世界のデータとシーンは実際の路上走行を通じて取得および再構築できるが、大切なのは実世界データに加えて、編集可能な多くの類似シーンを生成することであり、それによって自動運転システムがさまざまなシーンに対応できるようになる。
自動運転シミュレーションソフトウエアは現在、データ駆動型からデータ生成型へと進化している。データ生成は合成データ技術をベースに大量かつ多様なデータを生成するもので、データ取得および処理の難易度とコストを下げられる。
51Simはすでに自動運転シミュレーションプラットフォーム「SimOne」、合成データプラットフォーム「DataOne」などを発表した。SimOneにはスタンドアローン型とクラウド型があり、クラウドのほうでは顧客が関係者とデータを共有することも可能だ。一方、データのマイニングと合成にも重点を置いて、実世界の学習データを補うと共に、検知システムの機能向上を図っている。
ほかに、バイトダンス(字節跳動)傘下のクラウドサービスプラットフォーム「火山引擎(Volcano Engine)」、検査ソリューションの「天准(TZTEK)」、自動運転技術の「美行科技(MXNAVI)」などと共同で、チップやドメインコントローラー、データマイニング、データ処理、機械学習、シミュレーション、テストを含む自動運転の総合ソリューションもリリースした。紹介によると、51Simはすでに世界のさまざまな分野で100社以上と提携しているという。
*2024年3月11日のレート(1元=約20円)で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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