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中国自動車大手の上海汽車集団はこのほど、インド子会社のMGモーター・インディア(MGインディア)に戦略的投資家を受け入れる件をめぐり、インド製鉄大手JSWグループから株式26%の譲渡対価として265億ルピー(1ルピー=約1.8円)を受け取ったと明らかにした。取引完了後はインドでの生産能力をさらに引き上げ、新エネルギー車(NEV)の細分化された各市場に焦点を当てていくという。
MGインディアは急成長するインド市場のチャンスを逃さず、MGブランドの市場シェアを持続的に高めるため、株式譲渡と第3者割当増資の形でJSWなどインドの投資家を受け入れることを決定した。JSWへの株式譲渡に加え、JSWと投資ファンド、ディーラー・トラスト、従業員持ち株会が共同で256億ルピーを出資する。
上海汽車集団の関係者は「上海汽車集団と新しい戦略的投資家は双方向の選択だ」と語る。JSWなどが上海汽車集団をパートナーに選んだのは、車づくりの実力とMGのブランド力を評価したからであり、異業種から参入したこれらの新しい投資家はインド自動車市場の潜在成長力にも期待を寄せている。インド自動車市場は世界で成長が最も速い自動車市場の一つで、23年の乗用車販売台数は初めて400万台を超えた。
MGインディアは19年に量産を開始し、現在は「フル稼働」状態にある。新しい投資家を受け入れることで、生産能力向上計画を立ち上げる方針だ。23年のインド販売台数は6万台を超え、うち新エネ車は24%を占めた。インド新エネ車市場で販売台数2位となり、「今後は新エネ車事業に力を入れたい」と意気込む。
上海汽車集団は17年に完全子会社のMGインディアを設立した。今回の取引完了後もMGインディアの株式49%とそれより高い割合の議決権を留保する予定で、純利益が50億~70億元(1元=約21円)増えると予想している。
業界関係者は中国車の海外進出について、さまざまな新しいルートが形成されつつあるとし、「車を売るだけ」から投資・工場建設などを含む産業チェーン全体の海外進出への移行が進んでいるとの見方を示した。
上海汽車集団の23年の海外販売台数は120万8千台だった。製品とサービスは100数カ国・地域に広がっており、海外事業もまとまった収益を実現している。MGは24~25年にかけて、海外で電気自動車(EV)のグローバルカーを10数モデル投入し、細分化された市場のうち主流の市場を全てカバーする形で、「インテリジェント・マニュファクチャリング・イン・チャイナ(中国智造)」の世界進出を全力で推進するとしている。(新華社上海)
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