EV向け電流センサー、コスト半減で検知 中国・珅斯技術

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クリーンエネルギー業界向けにセンサーソリューションを提供する中国企業「珅斯技術」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。出資したのは徳聯資本(Delian Capital)と聚華伝新私募基金(Juhua Chuanxin Private Equity Fund)。

珅斯技術は2021年に設立され、主に電気自動車(EV)・太陽光発電・蓄電システムの3分野に向けた電流センサーを生産している。すでに車載用センサー5種類を量産しているほか、現在開発中の製品が10種類以上ある。

電流センサー

電流センサーは電流の大きさや方向を測定するもので、電流を電圧やデジタル信号に変換して出力することができる。主に電力システムや産業オートメーション、電子機器などの分野で広く活用され、モーターやバッテリーパックの電流モニタリングや車両の加減速制御、バッテリー保護などの役割を担う。新エネルギー産業が発展し、産業のスマート化が進むにつれて、市場では電流センサーに対する需要がいっそう高まっている。

電流センサーの電流検知方式には、市場で主流となっているホール素子方式のほか、シャント抵抗方式やフラックスゲート方式、インダクタンス方式などがある。珅斯技術ではホール素子方式だけだなく、新たな技術も採用している。同社の曽鳳林CEOによると、フラックスゲート方式とインダクタンス方式の長所を組み合わせた、コアレスのフラックスゲート方式を独自に開発したという。

フラックスゲート方式は技術的に複雑で、コストがかさむ。一方、インダクタンス技術は角度や位置の検出に使用されることが多く、これまで電流測定にはほとんど活用されてこなかった。珅斯技術はこの2つの技術を組み合わせることで、センサーの精度を保ちながらサイズを80%縮小し、コストを50%削減することに成功した。このほか、さまざまなセンサー技術に精通している同社は、活用シーンに対する知見やシステム設計能力、電磁・構造シミュレーション、自動校正、誤差補正アルゴリズムなどのスキルを生かして、コストパフォーマンスに優れたセンサーソリューションを提供している。

すでに量産を始めている車載用センサー5種類は、複数の著名自動車メーカーの10車種余りに使用されており、1年間で10万台以上に搭載された。さらに、欧州支社と中国本社からなる開発チームが新製品10種類以上の開発を進めている。

珅斯技術のチームは40人ほどで、開発スタッフが半数を占めている。コアメンバーは電流センサー世界大手のスイスLEMのほか、センサー大手のスイスTE Connectivity、米Sensata、完成車メーカーの出身者だ。曽CEOは、LEMの中国エリア自動車事業の総責任者として、販売やFAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)、マーケット、プロダクトチームを管理していた経歴があり、電流センサー分野で16年のキャリアを有する。開発ディレクターの王博文氏は、過去にLEMで新プラットフォームの製品開発を担当し、車載用センサーの設計に精通している。欧州エリアのゼネラルマネジャーを務めるJerome Dancre氏は、かつてLEMグループの副総裁を務め、グローバルな開発・販売や異文化マネジメントの経験がある。

*2024年4月15日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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