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アップルが9月に開催した製品発表会にAR(拡張現実)ゴーグルは登場しなかった。だが、最新レポートでは、同社が来年上半期にARゴーグルをリリースすると予測されている。
中国の証券会社「天風国際証券(TF International Securities)」のアナリスト郭明錤氏は、アップルはARゴーグルの開発で他社と提携しており、早ければ2019年第4四半期にARヘッドセットの量産を開始し、2020年第2四半期に発売すると予測。中国の精密機器メーカー「長盈精密(Everwin Precision)」が筐体サプライヤーになるとの見方を示した。
アップルのティム・クックCEOはARに大きな期待を抱き、ARが向こう10年にわたり非常に重要な技術になると考えている。ただ、今のところ同社はARハードウエアをリリースしておらず、iPhoneやiPadでソフトウエアによる技術サポートを提供するのみだ。ティム・クックCEOが話すように、ARはiPhoneで使用されるチップと同じく、単独の製品ではなくコア技術の一つにとどまっている。
ARゴーグルはすでにマイクロソフトとグーグルがリリースしているが、扱いにくく実用性が低いため、まだブームにはなっていない。それでも大手各社がサプライチェーンの見直しを進めたことでAR製品の使い勝手も次第に改善されており、今年末か来年にはアップルとサムスンが本格参入するとみられている。
アップルはAR事業の展開を始めた2017年のWWDC(世界開発者会議)で、AR開発ツールの「ARKit」をリリースし、同年9月に発売されたiPhoneではこの技術を実装した。また社内人事では、オーディオ・ビジュアル・ボイステクノロジー開発の米「ドルビーラボラトリーズ」でバイスプレジデントを務めたマイク・ロックウェル氏がARチームリーダーを担い、さらに今年に入り、iPhone部門を長期にわたり担当してきたフランク・カサノバ氏がAR部門のマーケティング責任者に任命された。
アップルはヘッドセット、ゴーグル、光導波路、3D(三次元)コンテンツ構築・表示技術などのAR関連技術の特許を保有するほか、カナダのARヘッドセット開発企業「Vrvana」や米デンバーのARゴーグル用レンズ開発企業「Akonia Holographics」といったスタートアップの買収を通じてAR技術を補強している。現在、App Storeに並ぶARアプリは3000件を超えている。アップルがARハードウエアをリリースする準備はほぼ整ったと言えるだろう。
アップルはハードウエア製品の発表を急がず、常に技術が成熟したタイミングを待ってリリースしてきた。ソフトウエア・ハードウエア市場における同社の立ち位置を考えると、ARデバイスのリリースはデモンストレーション効果を生み、AR産業の発展を加速する可能性がある。
IT専門調査会社IDCによると、2023年のARゴーグル販売台数は3190万台、また2019~2023年の年平均増加率は169%に達する見込み。ARゴーグルの出荷台数が増えれば、川下のコンテンツアプリ制作が加速すると共に製品の多様化が進み、AR市場の規模拡大につながる見通しだ。
アップルはARゴーグルのほかにも、来年上半期に新製品を多数リリースするとみられている。同社に詳しい郭明錤氏は、アップルは来年第1四半期に「iPhone SE 2」と「iPad Pro」の新機種を発売し、第2四半期にはシザー式キーボードの「Macbook」をリリースすると予測している。
(翻訳・神戸三四郎)
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