分野特化型の大規模言語モデルでIoTを高度化、AIoT業界をリードする中国「Terminus」が420億円調達

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分野特化型の大規模言語モデルでIoTを高度化、AIoT業界をリードする中国「Terminus」が420億円調達

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中国AIoTソリューションのリーディングカンパニー「特斯聯(Terminus Technologies)」がこのほど、シリーズDで20億元(約420億円)を調達した。AL Capitalと陽明股権投資基金が共同で出資を主導し、福田資本及び既存株主の光大控股(China Everbright)や商湯科技(センスタイム)なども出資した。

特斯聯は2015年に設立され、人工知能と(AI)とモノのインターネット(IoT)を組み合わせたAIoT技術を基盤に、ビルディング・コミュニティ・都市(シティ)・産業パーク・脱炭素の5分野を中心にスマート化を進め、産業エコシステム拡大と二酸化炭素排出量削減の両立を後押ししてきた。

AIや5G、エッジコンピューティングなどの技術が普及するのに伴い、AIoT産業はここ数年で爆発的な成長を遂げた。中国では2024年、AIoT産業の市場規模が前年比17%増の1兆7000億元(約36兆円)となる見込みで、今後も数年にわたって急成長を続けるとみられる。

とくに、大規模言語モデル(LLM)に基づく生成AIがIoT機器に導入されるようになったことで、AIoTはさらなる進歩のチャンスを迎えている。AIoTでは、さまざまな種類のIoT機器の多様なデータを取り扱うようになった。ユーザーの細かいニーズを素早く捉えるため、現在のIoT機器にはより高度なセンシング能力などが求められている。より完成度を高めるためにマルチモーダルデータや業界のノウハウを取り入れ、LLMとIoT機器で使われる語義とを一致させれば、人と機械のより良い共生・共存が実現するはずだと特斯聯は考えた。

特斯聯は、LLMとシステムを統合する革新的な技術戦略を打ち出し、AIoT、産業パーク、企業、経済、エネルギーの分野にそれぞれ特化したLLMを開発・発表している。各分野に特化したLLMを具体的な活用シーンと高度に結びつけ、活用シーンに沿ってシステムを定義することで、複数のモダリティ(データの種類)を取り扱う難しさを克服した。

産業パークに特化したLLMを例に挙げると、専門的な知識を組み込んだLLMがユーザーの利用習慣をリアルタイムに学習し、空間の人口密度に合わせた空調・照明の調節、その場にいる人の動きの捕捉、ロボットによるアシストなど、それぞれのシーンに応じた自動化サービスを提供する。LLMをAIoTの自動管理・サービスシステムに組み込むことで、人とIoT機器と都市空間をよりスマートに結びつけることが可能となる。

複雑な空間でも協働ロボットに任務を遂行させられる

LLMと生成AIの急速な発展に伴い、膨大なデータを処理・分析できる高い演算能力が重要性を増している。これを受け、特斯聯はソフトウエアとハードウエアを一体化させたAI演算プラットフォーム「緑色智算体」を開発し、顧客に提供している。

同社の華先勝・最高技術責任者(CTO)は、産業のデジタル化やスマート化を実現するには、演算力の高度化や電力消費量の増加などの課題を解決する必要があると指摘する。同社が開発した緑色智算体は、LLMの学習と推論を支え、分野に応じたLLMの作成とLLMアプリの開発をサポートし、産業のデジタル化とスマート化を後押しする。緑色智算体はすでに、中国のチップ大手やサーバー大手との対応作業を完了したという。

創業者の艾渝・最高経営責任者(CEO)は、あらゆる分野の企業が生き残りのためにLLMの導入を急いでいるとした上で、「当社は緑色智算体をベースに基盤モデルの作成からアプリ開発までの一括サービスを提供する」と述べた。LLM技術とIoT技術をシームレスに開発する特斯聯のスキルは、持続可能な価値を生み出し、他社の追随を許さない競争力の核となっている。

2024年3月時点で、特斯聯のソリューションは世界120以上の都市、1万件以上のプロジェクトに導入されている。そしてこのほど、同社はアラブ首長国連邦(UAE)にグローバル本部を開設し、海外事業の展開をさらに進めていく方針だという。

*2024年4月23日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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