中国、車載イーサネット用チップの国産化に注力 国内企業のニーズに対応

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中国、車載イーサネット用チップの国産化に注力 国内企業のニーズに対応

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スマートコックピットや自動運転など自動車のスマート化が進むにつれて、内部の高速通信に対する需要が高まっている。車載Ethernet(イーサネット)は帯域幅の広さ、信頼性の高さ、ワイヤーハーネス軽量化などの特長を生かし、車内で高速通信を実現するための重要な技術となった。BMWの7シリーズが2008年に初めてイーサネットを採用して以降、徐々に普及がすすみ、23年になると自動車メーカーがイーサネットを搭載するのは一般的となった。ベンチャーキャピタルの漢能投資(Hina Group)は、中国の車載イーサネット用チップ市場が規模にして122億元(約2500億円)に上ると試算している。

中国では現在、車載イーサネット用チップをほぼ輸入に頼っており、米国のMarvellやBroadcomといった通信チップの世界的大手がシェアを握っている。車載イーサネット用チップにはスイッチチップとPHY(物理層)チップの2種類がある。中国製品は100メガビットの低速PHYチップがわずかにあるだけで、スイッチチップの分野はまだ手つかずと言える状態だ。

2022年に設立された「奕泰微電子技術」は、車載イーサネット用チップの研究開発を手がける中国では数少ない企業だ。チームはイーサネット通信チップ分野における長年の経験をベースに、性能と信頼性が高く消費電力が少ない車載イーサネット通信チップとソリューションを開発した。

創業者の仲建鋒氏は、世界的な有名企業でイーサネット対応製品ラインの構築を主導し、数世代にわたるイーサネット用チップの開発に携わった。同氏によると、奕泰微電子技術は中国で車載用のPHYチップとスイッチチップの両方を開発する数少ない企業の1つで、車載イーサネット用チップをめぐるトータルなソリューションを提供できる。

スイッチチップは特定用途向けに設計された複雑で大規模な回路で、成熟した機能モジュール(IPコア)を使えないため、多数の専用回路を設計しなければならない。同社はこの技術的なハードルを乗り越え、業界トップクラスの製品と同等の性能を持ち、イーサネットを拡張したTSNに対応する、中国唯一のギガビット級車載用スイッチチップを発表した。

製品の競争力において、同社は中国自動車メーカーが進める部品の国産化に対応し、メーカーの要望に素早く応える現地サービスを展開している。仲氏によると、世界的なチップ大手が故障の原因を解決するには2週間かかるかもしれないが、中国企業なら24時間で対応できるという。

すでに量産体制に入っている同社の産業向けイーサネット用チップは技術検証を終え、収益を上げている。車載イーサネット用チップはテストの最終段階にあり、間もなく検証のため自動車メーカーに納品される見通しだ。

奕泰微電子技術はこのほど、中科創星(Casstar)が主導するプレシリーズA+で資金を調達した。中科創星で取締役を務める盧小保氏によると、 コネクテッドカーの電子・電気アーキテクチャが分散型から集中型へと急速に移行する中、高速伝送が大きな課題になっているという。従来の通信規格CANバスと比べ、車載イーサネットは伝送速度と軽量化に強みがあり、一気に車内通信の主流技術となる可能性がある一方で、国産化が大きく遅れており、急成長する川下の新エネルギー車市場を支えるのは難しいという。奕泰微電子技術のチームは関連分野で豊富な経験を有すると同時に川下の顧客リソースとも深いつながりがあるため、国産化の遅れを挽回し、中国の車載用チップエコシステムにおいて重要な役割を担うことが期待される。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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