徹夜で限定グッズを買い占め、日本の「ちいかわ」が中国で人気爆発の理由

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日本で絶大な人気を誇る「ちいかわ」は中国でも若者たちから大きな支持を受け、2023年に最も勢いあるIPになった。漫画からアニメ、そしてSNSのスタンプにまで、ちいかわのキャラクターがあふれ、関連商品の売上高は瞬く間に1000万元(約2億2000万円)の大台を突破した。

原作漫画「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」は2020年よりツイッター(現X)で連載が始まり、2021年に単行本化されてから累計発行部数は100万部を突破した。2022年にアニメ化されるとアジア各国で大人気となり、2023年には中国でも一大ブームを巻き起こす。動画配信大手「Bilibili(ビリビリ)」や中国版TikTok「抖音(Douyin)」などではフォロワーが4カ月で100万人近く増加した。

ちいかわは独特のキャラクターと人を惹きつけるストーリー設定で爆発的な人気を博した。ちょっぴり泣き虫の「ちいかわ」(中国名「吉伊」)が、友だちの「ハチワレ」(中国名「小八」)「うさぎ」(中国名「烏薩奇」)たちと繰り広げる日々を描き、豊かな個性とリアル世界にもありそうなストーリーで、あっという間に若者の心をつかんだ。ちいかわの世界は悩みのない童話の世界ではなく、報酬を得るための労働や資格試験、友情や試練など現実世界の様子を反映しており、多くの若者たちの共感を呼んだ。

ちいかわに自分を重ねる若者が、キャラクターのスタンプを使い始めると、あっという間にSNSで広まり、さらに代理店が関わってきたことでブームはさらに大きく拡大した。

中国の大手雑貨チェーン「名創優品(MINISO)」は中国で初めてちいかわとコラボし、ポップアップストアが大成功を収めた。ポップアップストアの1号店が3月29日に上海市の中心部にある大型商業施設「上海大悦城(JOY CITY)」に登場し、多くのファンが限定商品を購入するために椅子や布団まで準備してオープン前日から徹夜で列に並んだ。ポップアップストア1店舗の売上高は3日間で800万元(約1億7600万円)、オンラインでは一度のライブ販売で関連グッズの売り上げが100万~250万元(約2200万~5500万円)にもなり、中古品を扱うサイトではポップアップストアで販売されていたグッズが数倍の価格で売りに出された。一連の結果はちいかわのビジネス価値を証明しただけでなく、名創優品の集客と購買につながる鋭い観察力を見せつけた。

名創優品だけでなく、多くのブランドや企業が続々とちいかわ人気にあやかって大きな利益を手にした。データ提供サイト新榜(Newrank)傘下の抖音データまとめツール「新抖」によると、抖音のライブ販売で販売されたちいかわ関連グッズの売上高は累計で500万元(約1億1000万円)を突破している。「閑魚(Xianyu)」など中古品アプリでは、日本で販売されているちいかわグッズの代理購入に高値がついているほか、抖音ライブコマースのアートトイや小紅書(RED)の手作りグッズ発信コーナーでもちいかわが取り上げられ、売れ行きは上々だ。ファッションブランドではGUやユニクロ、韓国の「SPAO」、小売ではローソンやケンタッキーなどもちいかわとコラボし、香港のスマホケースブランド「CASETiFY」も、ちいかわとのコラボシリーズを発売している。

こうした現象はちいかわだけにとどまらない。少し前にはディズニーの「リーナ・ベル」や、韓国のスタンプキャラクター「Maltese puppy」、CGアニメ・ポンポンポロロの「ルーピー」などがネットの人気をさらった。こうしたIPが人気を博すのは、現代の若者たちが心の支えや気持ちのやり場を求めているからだ。

ただ、ちいかわ人気も難しい時期を迎えている。時間の経過とともにキャラクターへの熱は徐々に冷めていくのが普通で、IP自身も運営チームもいかに人気を保ちつづけるかという問題に向き合わなければならない。中には、多彩なコンテンツや新キャラクター、他のトレンドとの組み合わせでIPへの関心を繋ぎとめる企業もある。例えばLINEの「LINE FRIENDS」は、流行りのカルチャーに合わせて絶えず新しいIPを生み出し、ブランド力を維持している。

ちいかわへの熱狂もいずれは冷めてしまうだろう。しかしIPビジネスの市場は巨大だ。ブランドも企業も、若者のニーズを把握し、絶えず新しいものを生み出しながら運用を続けなければ、市場での激しい競争において揺るぎない地位を確立することはできない。

作者:新榜(WeChat公式ID:newrankcn)

※2024年4月26日のレート(1元=約22円)で計算しています。

(翻訳・編集 36Kr Japan編集部)

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