次世代エネルギーの「核融合」、中国企業が事業化急ぐ 30年にも収益化へ

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

日経スタートアップ注目記事

次世代エネルギーの「核融合」、中国企業が事業化急ぐ 30年にも収益化へ

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

核融合エネルギー技術を手がける中国企業「星環聚能科技(Startorus Fusion)」がこのほど、プレシリーズAで数億元(数十億~百十数億円)を調達した。出資は上海知識産権基金が主導し、華成創投のほか、既存株主の中科創星(CASSTAR)と和玉資本(MSA Capital)が参加した。

星環聚能は2021年に設立された。コアメンバー全員が清華大学工学部物理学科の出身で、制御核融合研究で20年以上にわたる経験を積んでおり、中国の核融合エネルギー研究開発に体系的に関わるチームとしてはトップクラスだ。

同社磁気リコネクションによって加熱する球状トカマク型装置を採用。繁雑な加熱および電流駆動装置を減らせるほか、核融合炉の複雑さを大きく下げ、トリチウム増殖率を高められるため、将来のエネルギー市場においてコスト面で優位性を持つ核融合エネルギー技術と言える。同社は清華大学と建設した最初の核融合炉「SUNIST-2」で検証を行い、磁気リコネクションによるプラズマ加熱を確認できたという。

核融合発電は高いエネルギー密度、豊富な原料、核分裂発電を大きく上回る安全性を特長とするクリーンエネルギー技術として、化石燃料に代わる社会インフラとなり得るもので、カーボンニュートラルを実現する理想的な手段と見なされている。核融合産業協会(FIA)の統計によると、2030年までに収益化を計画している核融合発電企業は現時点で4社あるという。

ここ数年は米国、英国、日本を含む世界各国が自国の核融合技術開発を支えるため、核融合の関連政策を相次いで発表している。中国も制御核融合に対する政策支援を強化し、今年1月には工業情報化部、科学技術部、中国科学院など7部門が共同で「未来の産業イノベーションの発展推進に関する実施意見」を発表、核エネルギー、核融合、水素エネルギー、バイオマスエネルギーなどの重点分野に焦点を当てて「収集・貯蔵・輸送・活用」の産業チェーン全体を網羅するエネルギーシステムを構築する方針を示した。

星環聚能は現在、次世代の核融合実験炉「CTRFR-1」の設計を進めている。高温超伝導マグネットの磁場に閉じ込めたプラズマを磁気リコネクションによって1億度に加熱し、核融合状態にする方式を検証する計画だ。2027年までに商用モデル装置の建設に着手し、30年前後には独自方式による核融合発電の収益化を目指している。

*2024年5月8日のレート(1元=約22円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録