中国の高速通信向け光半導体「Aluksen」、シリーズBで資金調達 市場独占の海外勢に挑む

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

中国の高速通信向け光半導体「Aluksen」、シリーズBで資金調達 市場独占の海外勢に挑む

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の光電変換モジュール市場ではこれまで、欧米製の光半導体がシェアを独占してきた。とくに、通信速度25Gbps(ギガビット/秒)以上に対応する光半導体の国産化率はわずか4%にとどまっており、ハイエンド分野における輸入品から国産品への切り替え需要が高まっている。

人工知能(AI)を活用したコンピューティングネットワークが急拡大するなか、AIの演算力を支える光電変換モジュールと光半導体は、中国の半導体業界の成長にとって極めて重要な役割を担う。

中国では光半導体の国産化を推進する政策が次々と打ち出され、市場が急拡大の段階に入っている。コンサルティング会社の久謙資本(Meritco Services)によると、中国の光電変換モジュール市場の規模は、2016年の250億9000万元(約5500億円)から22年には476億8200万元(約1兆円)へと成長した。また、光半導体市場の規模は、24年に150億元(約3300億円)を超える見通しだという。

急拡大中の光半導体市場で存在感を示すのが、アナログ半導体の設計を手がける「傲科光電(Aluksen)」だ。同社はすでにシリーズBの資金調達を完了しており、これまでの調達額は累計数億元(数十億円超)を突破している。

傲科光電は2016年6月に広東省深圳市で設立され、アナログ半導体のほか、デジタル回路とアナログ回路の両方を搭載した集積回路(IC)の設計を手がけている。主な製品は、ドライバーやトランスインピーダンスアンプ(TIA)回路、クロック・データ・リカバリー(CDR)回路、 シリコンフォトニクス半導体、薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)半導体などで、10Gbpsから1.6Tbps(テラビット/秒)までの高速光通信で活用される。

同社は設立当初から高速通信向けの半導体に注力し、データセンター市場と電気通信市場向けにそれぞれ異なる半導体の開発を手がけてきた。また、市内通信ネットワークや基幹ネットワーク、コアネットワーク、各戸に光ファーバーを引き込む光モジュールなどの分野向けにも質の高いソリューションを提供している。

傲科光電の商松泉・最高経営責任者(CEO)によると、同社はデータセンターの短距離通信向け半導体「25G SR」と「100G SR4」の大量納品を実現し、長いあいだ欧米企業がシェアを独占していた光半導体市場を切り開いた。同社の製品は、国内でコントロール可能な国産ソリューションとして、すでにシステム・機器メーカーやデータセンターに大規模導入されているという。

また、100Gbpsと400Gbpsに対応する光半導体「PAM4 56G Baud」の量産・輸出を実現しているほか、2022年には世界最大手のシステム・機器ベンダーと共同で200Gbpsに対応する製品の開発を始めており、すでにシステム・機器やモジュールを手がける大手企業に量産サンプル品を提供している。

400Gbpsのアイパターン(「傲科光電」提供)

シリコンフォトニクス半導体は集積度やデータ伝送速度の最大値、エネルギー消費、コストの点で優れているため、現在の光電変換モジュール分野の主流となっている。また、AIの進歩で大量の並列演算とデータ交換を実行する必要が生じているため、高帯域・高密度かつ拡張可能な光電融合技術が次世代のAIコンピューティングにとっての推進力となる。

傲科光電は、既存の光半導体と光電融合技術に基づくCPO(Co-Packaged Optics)技術をベースとするワンストップソリューションを提供し、AIと機械学習、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ネットワークの構築を後押しする。商CEOは「CPO技術は、次世代の光電変換モジュール(800Gbps/1.6Tbps/3.2Tbps/6.4Tbps)の開発や相互運用に必要不可欠だ。市場の風向きを読み、切り込むポイントをつかむことがとくに重要になる。光半導体の国産化に向けては、安定的な大量生産を実現するだけでなく、しっかりとした品質を確保しなければならない。国産品への切り替えには、まだ長い道のりが必要だろう」と述べた。

データセンター間接続(DCI)向けに開発した400GbpsのCPOソリューションは、すでにパートナー企業と共同で製品のパッケージングを完了しており、エンドユーザーとなる企業との共同開発製造(JDM)も始まっている。

現在、新たな資金調達に向けて動いている。資金は、データセンターと電気通信向け製品の量産に充てるほか、コンピューティングネットワーク向け製品の展開や光電デバイスの開発に用いる方針だという。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録